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【テイスティング用語】意味は?「①外観②香り③味わい」ワインの表現

「美味しい」……どう美味しいのか?
若いワインは果実や花のフレッシュで単純だが、
熟成が進むと味わいも香りも複雑になってくる。
この「複雑さ」を表現するのに、
スパイスやら土やらシルクやらだけでなく
遂に金属や動物まで登場して「??」となる。

しかし、そこには「ある一定の法則」があり、
法則を具体的に記憶するのがテイスティング用語である。

これはワインの世界共通語であり、暗号でもある。
ソムリエでない一般人でも、軽く知っておけば、
だんだん知識と感覚がリンクしてくる。
そうなると、飲む楽しさが倍増するし、
「自分好みのワイン」を決めやすくなる。

とはいえ、
本人しかわからない感覚を他人にわからせるため
「大げさ」な表現せざるを得ない。
これらの表現を単純化・体系化するのは不可能だが、
あえて強引にやってみる。

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順番

「目⇒鼻⇒口」の順で顔の上から使い、
①②③で10秒以内が目安とされる。

「①外観⇒②香り⇒③味わい」の順であり、
高額ワインはそこに「余韻」が加わる。

①外観

ワインを光にかざして観察する。
「外観だけで60%理解できる」ともいわれる。

たとえばこのワインは、飲まなくとも
「さっぱりした若いワイン」とわかる。
なぜなら、色もディスクも薄いからだ。

高級レストランやコッテリ系メニューよりは
カジュアルな場やアッサリ系メニューに適する。

ただし、目で見ただけでは「どんな香りか」
「どんな味わいか」まではわからない。

というわけで次は鼻を使う。

②香り

1.品種香⇒2.発酵香⇒3.熟成香の順に発現し、
同時に感じることはない。
若いワインは単純だが、熟成ワインは複雑である。

上級者はこの「香りの変化」を楽しむ。

③味わい

初心者は②香りをスルーして
飲んだ瞬間の③味わいに着目しがちである。

しかしながら、
③味わいよりも②香りの方が重要である(後述)。

余韻

Cited from “Singing bowl“.

高級なワインほど余韻が長い。
5秒でソコソコ長め、10秒で熟成ワインが目安。

では、1つずつ順番にみていこう。

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①外観

まず最初に☆のところを見る。
白は外側、赤は内側で第一印象を決める。

透明度・輝き・色・濃さ・粘度などを
「見るだけ」で中身の予測がつく。

透明度

濁っているワインは「不健全」とされる。
※無濾過ワインを除く

Cited from “Wine legs shadow“.

脚が流れ落ちる速度が遅いと
アルコールとグリセリン(甘味・粘性)が多い。

基本的に「遅い方が品質が高い」とされる。

輝き

液面の反射などを見る。
ワインの表面を観察し、キラキラと照っていたり、
輝いていると酸が豊富とされる。
……が、心理的な部分も大きい。

基本的には「輝き=酸」と考える。
若い状態だと酸化が進んでおらず、酸味が豊富。
白ワインにおいて、酸は重要な指標である。

ディスク

液面のことをディスクと呼ぶ。
輝いているとアルコールやグリセリンが
多い傾向になる。

厚いとグリセリンの量が多く甘い傾向になる。

「●●がかった■■」と表現され、
●●はワインの熟成度を、■■はブドウの品種を示す。

●●(熟成度)

赤ワインは黒⇒紫⇒オレンジ⇒レンガ⇒褐色。

白ワインは緑⇒黄⇒黄金⇒
トパーズ⇒琥珀⇒オレンジ⇒褐色。

赤も白も熟成が進むと「褐色」に行きつく。

■■(品種)

ベリー系で赤の濃淡を表現することが多く、
明るい赤はラズベリー、濃い赤はブルーベリー、
赤黒ければブラックベリーとされる。

また品種によって表現が決まっている。
たとえば若いカベルネは「ダークチェリー」、
若いピノは「ラズベリー」など。

熟成が進むと色が変わっていく。
白は琥珀、赤はレンガやガーネットなど、
鉱物系の色で表現される。

濃さ

ワインの凝縮度を示す。

品種によって濃淡の差があったり、
同じ品種でもブドウの熟しているほど濃くなる。

粘性

Cited from “Wine legs shadow“.

グラスの中でワインを回転させると、
側面に筋(脚)ができる。
糖度やアルコール度が高いワインは
その筋(脚)が残りやすい(=粘性が高い)。

粘性が高いと重く感じる。
粘性は、高い方が良い評価を受けやすい。

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②香り

  • 第1アロマ(品種香)
  • 第2アロマ(発酵香)
  • 第3アロマ(熟成香)

若いワインは第1アロマだけでもよい。

1.品種香

ブドウ本来の香りであり、
グラスのワインを動かさずに嗅ぐ。

基本的にはブドウ以外の「果実」に例えられ、
花に例えられることも多い。

傾向

白ワインは柑橘系や甘い果物が基本である。
若い白ワインはハーブなどの草、
熟成の進んだ白ワインは蜂蜜の香りもする。

赤ワインはベリー系が基本である。
軽い赤ワインはイチゴ・ラズベリーに例えられ、
重い赤ワインはブルーベリー・ブラックベリーに
例えられやすい。

2.発酵香

グラスのワインを2~3回転させ、
空気と触れさせると香りがより強まり、
花や果実「以外」の香りが発現する。

醸造方法によってヨーグルトなどの
特徴的な香りが産まれる。
ここで草・木・土・なめし皮や動物系の香りが登場する。

3.熟成香

第三アロマはブーケとも呼ばれ、
30分以上置いたグラスで感じられる。
樽香(ロースト香)やスパイシーな香りが多く、
若いワインにはあまり感じられない。

熟成の進んだワインであれば
チョコレートやキャラメルの香りがする。

要するに、
「○○の香り」と聞いたこともない例えだったら
「直訳:熟成が進んでいますね」ということだ。
自分がコメントするときは、
「複雑ですねw」と笑ってごまかせばいい。

香り>>味

香りは味よりも圧倒的に重要である。

どんなに味が良くてもウンコのニオイでは、
二度と飲みたくなくなってしまう。
逆に、少々味が悪くとも香りさえ良ければ
それなりに美味しく感じるものだ。

ワイングラスの大きな丸みによって
香りが溜まり最大化され、味わいが数段良くなる。
ワイングラスで飲むと美味しいのに、
コップで飲むとイマイチなのはこのためだ。

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③味わい

味ではなく「味わい」であり、
味覚だけでなく「触覚」も重要である。

味わいは、
甘み・酸味・苦味・渋み・アルコールで構成される。
口に含んだ瞬間の「アタック」や、
口に残った「余韻」も表現する。

もっと単純化するなら、
口に入れた瞬間の強さ・酸味の強さ・深みの
3つだけでいい。

順番

1.アタック⇒2.甘み⇒3.酸味⇒4.タンニン⇒5.ボディ
の順に感じる。

赤ワインは1.アタックに、
白ワインは3.酸味に特徴が出やすい。

舌で感じる味覚は2.甘味・3.酸味・4.苦味である。
1.アタック・4.タンニン(渋味)・5.ボディは
味覚ではなく「触覚」に相当する。

1.アタック

口に含んだ瞬間の印象であり、
「清々しい・滑らかな・濃厚な・荒々しい」などと
表現される。

2.甘味

「辛口、やや辛口、まろやかな甘み、甘口、」
などと表現される。

ここで注意したいのは、
表現するのは「糖分以外の」甘味であること。
果実や花の香りを嗅ぐと、脳が甘さを連想する。
それを具体例で表現しなくてはならない。

ハチミツの香りも、砂糖を焦がした香りも、
どちらも甘い香りであるが、全然違う匂いである。

ゆえに、単に「甘い香り」は正しいがNG……
「シナモンのような」「ジャスミンのような」など
何を連想した甘味かを表現しないと説得力がない。

3.酸味

「力強い、シャープ、さわやか、やさしい、控えめ
キメ細かい、滑らか、やわらか、ハッキリした」

ワインの強さを決めるのは
アルコールでも渋味でもなく「酸味」である。
輝き・引き締め・余韻に大きな影響があり、
熟成の度合いの指標にもなる。

「酸味」は難しい……
ワインの基本骨格であるにもかかわらず、
同じワインでも人によって強弱が異なるので
酸味が強め・控えめと好みが別れやすい。

しかも、日本の食文化は塩味に特化しており、
酸味に慣れていない舌になっている。
欧米人の舌よりも酸味に弱く敏感であり、
同じワインでも強く感じやすい。

そのうえ、
酸味を感じるのが舌の両サイドである。
飲み方やグラス形状で舌への当たり方が変わる。
カットが鋭いワイングラスで飲むと美味しいのに、
コップで飲むとイマイチなのはこのためだ。

4.タンニン

Cited from “Tannin heap“.

渋味の主役であり、茶葉には大量に含まれる。

「ほどよい・心地よい・豊富な・刺すような・
力強い・キメ細やかな・シルキー・ビロード」など。
これは味覚ではなく「触覚」である。

赤ワインの渋味・苦味・コク・旨味が表現される。
タンニンが多いほど重い傾向。
時間と共に渋味がまろやかに変化する。

赤ワインと肉は「相性が良い」とされるのは、
タンニンが口の中の脂を消す効果があるからだ。
カベルネやテンプラに多く、ピノは少ない。

「ピノにしてはタンニン感がありますね……」
と言えば、ワイン愛好家が泣いて喜ぶ。

5.ボディ

「ライトボディ、ミディアムボディ、フルボディ」

味わいを広げるのが甘み、アルコール、
引き締めるのは酸味、苦味、渋みである。

ボディは人間に例えられることも多い。
甘み・アルコールが勝つと「グラマー」、
酸味・苦味・渋みが勝つと「スレンダー・シャープ」、
両方が強いと「筋肉質・ドッシリ」、
バランスが良いと「上品・エレガント」となる。

寒冷地のワインはシャープ、温暖地はグラマー、
アメリカワインは筋肉質など、産地にも傾向がある。

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基本の表現

赤でも白でもとりあえず「果実味がある」と
言っておけば体裁は整う。
「フルーティ」だと少し安っぽいかも。

そもそも果実酒なんだから「果実味がある」は、
当たり前であり、歌手に向かって
「歌うまいですね」と褒めるのに等しいが……
妙な納得感があり便利な表現といえる。

赤=白+渋味

白は2項目、赤は3項目が基本となる。

「このワインはどうですか?」
などと聞かれて困ったら、
「果実味を感じますねw」とごまかせばよい。

白ワイン

白ワインの基本骨格は「酸味」と「重み」。

赤ワイン

赤ワインの基本骨格は「酸味」「重み」「渋味」。

産地による違い

同じ品種で違う地域を比べる場合、
「温暖地」か「冷涼地」かが最も重要である。

たとえばシャルドネなら、
ブルゴーニュ(左)ではスッキリ爽やか、
チリ(右)では濃厚になりやすい。
とはいえ、
チリでも冷涼な地域ではスッキリ系になる。

温暖地は果実味・甘味が前に出やすく、
冷涼地は酸味が前に出やすい。

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直訳

ぶっちゃけ、品種と産地で表現は決まっている。

白ワイン

猫のオシッコ 
「直訳:ソービニヨン・ブラン(死語)」

ハーブ・芝
「直訳:ソービニヨン・ブラン」

アーモンド・蜂蜜
「直訳:熟成したシャルドネ」

爽やかな
「直訳:若い白ワイン」

ミネラル
「直訳:辛口」

コリアンダー・ライチ
「直訳:ゲビュルツ」

プラム
「直訳:リースリング」

トースト
「直訳:高級シャンパーニュ」

赤ワイン

スミレ
「直訳:冷涼地のシラー」

チョコレート
「直訳:温暖地のシラー」

ガーネット
「直訳:赤黒いカベルネ」

ピーマン
「直訳:カベルネの青臭さ」

黒胡椒
「直訳:シラーのスパイシーさ」

力強い・ドッシリ
「直訳:カベルネ」

華やか・エレガント
「直訳:ピノ」

タバコ・紅茶
「直訳:熟成したピノ」

エレガントな
「直訳:ブルゴーニュのピノ」

スミレ
「直訳:アルゼンチンのマルベック」

品質

ジャスミン
「直訳:弱い花の香り」

バラ
「直訳:強い花の香り」

紫がかった
「直訳:若い赤ワイン」

バニラ
「直訳:樽で熟成させた」

ココナッツ 
「直訳:アメリカンオーク樽で熟成」

タイム・ローズマリーなどのハーブ
「直訳:深みがある」

スパイシー
「直訳:個性がある」

シェリー香
「直訳:高級ですね」

複雑な
「直訳:とりあえず褒めてます」

正直な
「直訳:安モノw」

コルク臭
「直訳:カビてるじゃねぇか!」

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とりあえず、の表現

「果実味がある」だけで体裁は整うが、
それだけでは寂しい場合がある。

もう一言つけ加えるとするなら……

熟成度合

「……複雑ですね」
と言っておけば出した人は泣いて喜ぶ。

熟成の進んだ高級ワインは、複雑。
「どう複雑か」を表現できればベスト。
(複雑な表現になるほど褒めていることになる)

逆に、けなす場合ほどシンプルな表現になる。

若い・熟成

若いワインは「美味しい」だけだが、
熟成ワインは
「なんだかよくわからないけど良い香り」
を表現することになる。

滑らか、スムーズ、キメ細やか、緻密……
とりあえず「複雑な香りですねw」でいい。
それに「渋味が長い余韻ですね」などを
加えればワイン通が泣いて喜ぶ。

ニュアンス

本来は「微妙に」「わずかに」の意。

とりあえず「○○のニュアンス」とさえ
言っておけばそれらしく聞こえる。

高級ワインなら「ニュアンスに富んでいる」。
言ってる本人すら意味は???だが、恰好がつく。

気品

気品がある、とは「育ちが良い」ことである。
伝統ある地域の伝統的な製法によるワインを
「エレガント」と表現する。

どんなに味も香りも良いワインだったとしても
格付けの低い地域のワインには使われない。

軽いワインには「エレガント」とさえ
言っておけば、生産者が泣いて喜ぶ。

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白ワインの試験

ソムリエ試験の選択肢が、
ワインを評価する参考になる。

外観

【透明度】
外観 澄んだ やや濁った 濁った


基本的には澄んでいる方がよい。

【輝き】
輝きのある 落ち着いた モヤがかかった


酸が豊富だとキラキラしやすい。

【色調】
グリーンがかった レモンイエロー イエロー
黄金色がかった 黄金色 トパーズ アンバー(琥珀色)


イエローを基準に冷涼地は上段、
温暖地は下段になる傾向がある。

【粘性】
さらっとした やや軽い やや強い 強い

アルコールや糖分に富むほど粘度が高くなる。

香り

【第一印象】
閉じている 控えめ しっかり 力強い 
チャーミングな 華やかな 濃縮感のある 
深みのある 複雑な


若いほど単純、熟成が進むほど複雑になる。
香りは、味より重要である。
(パーカーポイントでも点数は味の2倍)

味わい

【アタック】
軽い やや軽い やや強い 強い インパクトある

口に含んだ瞬間の第一印象。

【甘味】
ドライ ソフト まろやか 豊かな 残糖がある

アルコールによるボリューム感も含む。

【酸味】
爽やかな やさしい しっかりとした
キメ細かい 力強い ストレートな


白ワインでは最も重要な指標かもしれない。

【苦味】
控えめ 穏やかな コク(深み)
旨味をともなった 強い


苦味は、旨味でもある。

【バランス】
スリム スムース ドライな まろやか ねっとり
コンパクト フラット 豊潤 厚みある ふくよか


【アルコール】
軽い やや軽め 中程度 やや強め 強い 熱い

13%で中程度、0.5%刻みで前後する。
12%で「軽い」、14%で「強い」が目安。

【余韻】
短い やや短い やや長い 長い

5秒で「やや長い」が目安。

【評価】
シンプル フレッシュ感 熟成度が高い 豊か
濃縮 力強い エレガント ミネラリー 

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赤ワインの試験

基本は白ワインと同じであるが、
赤ワイン独自の項目が追加される。

外観

【清澄度・輝き・粘性】白ワインに同じ

【色調】
紫がかった ルビー ガーネット オレンジ
黒みを帯びた ラズベリーレッド ダークチェリー
レンガ色
 マホガニー

熟成するにつれて、
ルビー→ガーネット→レンガ色→マホガニーと変化。

【濃淡】
無色に近い 明るい やや明るい
やや濃い 濃い 非常に濃い

香り

【第一印象】白ワインに同じ

【香りの印象】
若々しい 嫌気的な 熟成感 酸化熟成 酸化
第1アロマが強い 第2アロマが強い
ニュートラル 木樽からのニュアンス

味わい

【アタック・甘味・酸味・アルコール・余韻】
白ワインに同じ。

【タンニン分】
収斂性のある 力強い 緻密 サラサラとした
ヴィロード シルキー 溶け込んだ


【バランス】
スマートな 骨格のしっかりとした 固い
痩せた 渇いた 豊満な 肉厚な 力強い
流れるような ふくよかな
 

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まとめ

重いの

ワインを調べて飲んで……を繰り返すと

たとえばサッカーの試合を見る場合、
各選手の特徴を知っている人と
全然知らない人が見るのでは面白さが全然違う。
同じように品種や地域、作り手の特徴を
知っている人が飲めば、楽しさが全然違う。

「旨い!」だけなら数百円の缶ビールで充分。

ワインには「美味しい」の中に、
缶ビールと比較にならない多様性がある。
それを知っていると、楽しさが広がっていく。
だから皆、数千円も出しているのである。



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