健康な男女の自然妊娠確率は?
30代後半の自然妊娠率は
40~50%と意外に高い。
コレで多くの夫婦が油断する。
「自分も40歳くらいまで大丈夫」
「35歳まで受診しなくていい」
しかし……楽観視は危険である。
自然妊娠率
30代でも自然妊娠率は高めである。
しかし、
妊娠しやすい夫婦は
「30代後半でも自然妊娠しやすい」、
という現象があるだけ。
晩婚であったり、共働きであったり、
3人目だったり……
「家庭の事情」で出産が遅れただけである。
卵子・精子の事情ではないのだ。
夫婦どちらかに不妊の原因があれば、
その確率は1/10以下に落ちるという。
35歳が最大の節目
不妊治療の分娩率は35歳から
「一気に」低下し始める。
一年たりとも無駄にできない。
なぜか?
35歳から卵子の老化・劣化が加速し、
妊娠率が急激に下がり始めるからだ。
35歳からどんどん妊娠しにくくなり、
42~3歳で不妊治療の限界を迎える。
つまり、
不妊傾向の夫婦であれば、
30代前半で受診すべきなのだ。
妊娠率
何の問題もない健康な夫婦であれば、
平均5ヶ月で妊娠に至る。
(1~3ヶ月で結果が出る場合も多い)
2年以上頑張っても、
統計学的には無意味である。
1年で90%が妊娠
1年間で90%の夫婦が妊娠して、
妊娠しなかった夫婦は10%だった。
ゆえに統計学的には、
「10%が不妊症」と推察できる。
2年以上は無意味
妊娠した夫婦の統計は、
半年で70%、1年で90%、
2年で「ほぼ全員」である。
ゆえに、
2年以上自己流タイミング法で頑張っても、
自然妊娠の可能性は限りなく近い。
たとえ若い夫婦でも、
受診の決断をするときである。
流産率
妊娠=出産ではない。
目立ったトラブルなく
出産に至るのは75%である。
流産10%前後、早産5%。
人工授精・体外受精含め、
全妊娠に対しては15%もの流産率である。
もちろん、
年齢が上がるほど流産率は高く、
35歳から跳ね上がる。
ざっくりいうと、
流産率は20代前半で10%だが、
35歳以上で20%以上に上がる。
妊娠初期が9割以上
流産のほとんどは、
お腹が大きくなる前の無自覚な流産。
妊娠初期は、
特に大事にしなくてはいけない。
妊娠12週までが90%以上である。
この時期は飲酒喫煙や薬で
奇形児のリスクも上がる。
といっても初期の流産は
外的要因が原因であることはあまりない。
極端な動きや刺激物を控えるとしても、
神経質に大人しくする必要はない。
自己流タイミング法
妊娠する可能性があるのは、
排卵4日前から排卵後1日の5日間程度。
可能性が高いのは、
排卵3日前~排卵日あたり。
もっとも可能性が高いのは、
「排卵1~2日前」である。
ここが「ベストタイミング」である。
ベストタイミングで発射したいが、
どうすればわかるのか?
メソッド
①基礎体温で見当をつける
②排卵検査薬で陽性を待つ
③陽性が出たら発射!
これでも「だいたいの日」しかわからない。
でも2~3発くらい発射すれば、
ベストタイミングを外すことはない。
①基礎体温
(オムロン公式サイトより引用)
基礎体温計を用いる。
小数点第2位まで正確に検温できる。
風邪の時に使うのではダメ。
基礎体温の低温期終了直前、
体温がカクッと下がる日は排卵の可能性あり。
体温がしっかり上がって高温期開始。
28日で1周期となる。
排卵日は生理終了後から12日あたり。
多少の個人差やガタつきはあるが、
何周期か記録していくと、
だんだん「排卵日の予想」がつくようになる。
だが体温は上下が激しいので、
だいたいこの日あたり、という
目安にしかならない。
基礎体温だけではアテにならない。
そこで、
排卵検査薬を併用する。
②排卵検査薬
検出LH量が少ないほど高感度である。
日本製の多くは排卵1日前に陽性となる。
1箱3000~4000円で、
1回あたり400円くらいが相場。
ワンステップ(アメリカ製)は、
排卵2日前に陽性となり値段も安い。
1回100円くらい。
(当サイトはアフィリエイトの
騙しリンクで誘導はしない方針なので、
自分でググッて安いのを探して欲しい)
排卵当日では遅い
排卵当日の妊娠確率はイマイチ。
精子が出会う頃に卵子が劣化してしまう。
排卵1~2日前に知りたい。
できれば2日前に知りたい。
少しでも早くわかる排卵検査薬が有利。
直前なら朝夕2回使えば、
より予測がしやすい。
LHサージ
排卵前にはLH(黄体形成ホルモン)が急増する。
LHサージが始まると、
排卵検査薬が陽性になる。
LHサージは48時間くらい続く。
陽性を待つ
使い方は、尿をかけるだけ。
基礎体温でだいたいの予想をつけ、
その数日前から排卵検査薬を使って陽性を待つ。
排卵検査薬で陽性が出たら、
タイミングをとる。
③発射!
陽性が出た夜にでも発射する。
ちなみに、
陽性反応が出てから2日間が
チャンスが大きい、とされる。
タイミングとは?
「タイミングをとる」とは、
精子と卵子の寿命を合わせて発射すること。
排卵日には、
精子が待機している状態にする。
寿命を合わせる
卵子の寿命はとても短く、
受精可能なのは排卵後24時間である。
そのうえ、
受精しやすいのは「最初の6時間」だけ。
精子の寿命は比較的長い。
受精可能なのは3~4日くらい。
(一週間生きる強者もいる)
一週間の間に2~3発の発射をすれば
タイミングを外すことはない。
あまり神経質になる必要はない。
ベストタイミング
「弱い陽性」あたりが、
ベストタイミングである。
三日連続で発射!!!
1日おきに発射!!
狙い済まして1回!
毎日だと精子が薄くなるという意見もあるが、
毎日の方が妊娠しやすいという報告もある。
産婦人科医
「回数を増やすのが一番だよ」
いろいろ意見はあるが、
「1日おき派」が多いようである。
援護射撃を2発
排卵4日前から可能性はある。
陽性反応が出る前に援護で一発、
発射しておく。
排卵当日でも可能性はある。
強い陽性が出た後日も援護で一発、
発射しておく。
流れとしては、
1.陽性反応前(援護の前発)
2.陽性反応(ベストタイミング)
3.強い陽性反応後(援護の後発)
で発射していくのが理想的だ。
とはいえ、
義務的かつ機械的な行為に
苦痛を感じている夫婦も多く、
できれば少ない回数で……が現実である。
この後、
リセットして再チャレンジか、
着床して妊婦となるか、
運命の分かれ道となる。
リセット
生理が来たらリセット。
最初からやり直し。
半年くらいでストレスになり始め、
何年も続くと心が折れる。
着床
高温期が17日以上長引いて
生理が来なければ妊娠が濃厚である。
生理予定日一週間後くらいに
妊娠検査薬で判定できる。
やり方は排卵検査薬と同じで
尿をかけるだけ。
妊娠検査薬で陽性が出ると……
すでに妊娠2ヶ月目
妊娠検査薬で自覚する頃には
もう妊娠2ヶ月目に突入している。
妊娠が成立した周期の
「初日」からカウントするからだ。
妊娠2週目で排卵・受精⇒1週間で着床開始。
妊娠が成立した時点で、
もう妊娠3週目である。
着床が完了するのに、
さらに5日かかる。
妊娠検査薬を買いに行き、
自分で検査してみる。
ハッキリと妊娠を自覚するのは、
さらに数日後になるだろう。
ゆえに、妊娠検査薬陽性まで
1ヶ月以上かかる計算になる。
安定期とは?
「安定期に入ったので報告します」
TVタレントがよく言うセリフだ。
妊娠16~27週(5~7ヶ月)目が目安。
(妊娠40週目が出産予定日)
この安定期が職場や友達など、
周りに打ち明ける時期である。
お腹がちょっと出て、
隠そうと思えばギリギリ隠せるくらい。
流産リスクが減り、つわりが落ち着き、
気分も体調も落ち着く。
これから徐々にお腹の膨らみが
目立ち始める。
ここから一気にお腹が大きくなっていく。
隠し続けるのは難しい。
ちなみにおデブちゃんは、
「本当に」わからない。
妊娠前からマタニティドレスみたいな
モッタリと伸びる服をいつも着ている。
多少お腹が出ても、
さらにデブったとしか思われない。
あと1ヶ月は黙っていても全然OKだ。
「○○さんが、来月から産休に入ります」
「え、あ……、お……めで、とう!」
打ち明ける時期
家族には妊娠検査薬が
陽性になった瞬間に言うべきである。
しかし、
妊娠発覚後すぐに周りの人に言うのはNG。
初期で流産したときにお互い気まずい。
流産リスクがほとんどなくなる
「安定期」に言うのが常識。
妊娠できなくて悩むのか、
いつ打ち明けるか悩むのか……
「決断の早さ」が運命を分けるだろう。
不妊治療へ……
統計学的に、
自然妊娠率は2年で頭打ちの状態になる。
もちろん例外はあるが、
2年以上自然妊娠にしがみつくと
手遅れになりがち。
不妊治療の決断が求められる。
不妊治療
1ヶ月かけて基礎検査をしたのち、
①タイミング指導
②排卵誘発剤
③人工授精
④体外受精
⑤顕微受精
の順にステップアップしていく。
数周期でステップアップし、
2年以内の妊娠を目指す。
体外受精が最大のステップ
体外受精をするか、しないか。
精神的にも経済的にも大きな壁がある。
ちなみに不妊治療は、
体外受精ナシで出産なら32歳、
体外受精アリで出産なら、
35歳から開始しないと確実な成果は期待できない。
体外受精こそ、
少しでも若いときに決断しないといけない。
とはいえ、
自然妊娠や①②③にしがみついて、
40歳で④体外受精を視野に入れる人が多い。
経済力があれば、それでもいいが……
回数は?
一般的には、
①②で3~6回⇒③を3~6回で
体外受精にステップアップする。
身体の状態、年齢や希望により、
回数を検討して決める。
半年以上同じステップを繰り返しても
統計的に無意味なので次に進む。
予算は?
費用も一緒に
ステップアップしてしまう。
③人工授精まで費用の心配はないが、
④体外受精から桁違いに跳ね上がる。
お金が足りなくて治療を
中止検討した人は80%。
金額の目安
①②タイミング治療 数千円(保険適応あり)
③人工授精 1回1~2万円(保険適応なし)
④⑤体外受精は1回20~60万円(保険適応なし)
体外受精で500万円以上かけられる
経済力のある人は、ほとんどいない。
多くの夫婦が300万円くらいで
貯金も精神も消耗し尽くし、
未練を残しながら諦めていく……
①タイミング指導
自己流タイミング法よりも、
はるかに精度が高い。
基礎体温・超音波・ホルモン検査などで
医師が総合的に判断する。
排卵日だけでなく、卵子の成熟具合もわかる。
しかし、
生理周期や排卵が正常でないと
効果が弱い。
その場合は、すぐに②に進む。
②排卵誘発剤
受診は1周期で4回。
内服後、必要に応じて注射を打つ。
1.排卵誘発剤の内服
2.卵胞チェック
3.タイミング決定 ⇒発射
4.子宮・卵巣チェック
ちなみにこの方法は、
40歳以上だとほとんど効果がない。
順番をとばして、③人工授精に進む。
①②で半年くらい様子を見て、
③人工授精に進む。
精子が正常であること
①②は男性の精子が問題ナシなら、
効果が期待できる。
精子が薄い、元気がないなど、
精子に問題アリの場合は、
効果が期待できない。
ただしそれだけなら、
③人工授精で効果が期待できる。
③人工授精
(http://www.jlt.ne.jp/prod/jinkoujusei/tyunyuより引用)
男性側に問題がある場合に有効で、
元気な精子を注入する方法。
体外受精と混同されやすいが、
卵子を取り出さない点で大きく違う。
自家発電にて精液を採取。
洗浄・濃縮し、元気な精子を選別。
卵管に直接注入する。
家で膣内に注入されるか、
病院で子宮内に注入されるかの違いだけ。
「人工」と名はついているが、
注入後は自然妊娠と同じメカニズムである。
妊娠率は1回10%弱と、
あまり高くない。
成功率
全体の50%が妊娠に成功する。
妊娠したうちの80%が3回以内、
90%が5回以内に成功している。
6回で妊娠に至らなければ
統計的に確率が頭打ちなので
続けてもほぼ意味がない。
④体外受精にステップアップする。
タイミング法と反対
精子に問題ナシの場合、
①②タイミング法で
妊娠しているはずである。
精子に問題アリの場合、
③人工授精で妊娠するはず……
ゆえに、
①②③をすれば精子が問題アリでもナシでも
妊娠に至っていることになる。
ここまででダメなら、
卵子側に問題があるので④に進むしかない。
大きな決断の時である。
④体外受精
(https://www.youtube.com/watch?v=rc8KTU8EiUUより引用)
1.卵子を体内から取り出す
2.培養液に精子を加える
3.受精卵を体内の戻す
受精の成功率は1回20~30%。
ただし、
受精卵が着床に成功しないと妊娠といえず、
40代では半数以上が着床に失敗する。
受診回数も1周期で10回以上。
場合によっては4日連続とかもあり。
しかも、いきなり「明日きて」と言われる。
仕事との両立は、困難……
何回チャレンジできる?
体外受精は1~2ヶ月卵巣を
休ませないと次ができない。
年に4~5回の上限が目安。
チャレンジ自体は、
タイムリミットの42~43歳まで続けられる。
予算があれば。
⑤顕微授精
精子があまり元気ない場合、
1匹の精子を厳選して、
ガラス針で卵子に直接注入する。
費用は+10万円ほど。
受精は高い確率で成功する。
体外受精の成功率
(日本産婦人科学会より引用)
35歳から成功率が急激に下がる。
不妊治療を行っている夫婦の
約50%が体外受精まで進む。
着床=妊娠
受精=妊娠ではなく、
着床=妊娠である。
受精卵が途中で成長が止まれば失敗……
無事成長すれば移植できるが、
移植しても着床しなければ失敗……
着床しても数回に1回は流産……
しかし決断をした以上、
失敗が連続しても気にせず次、次、次。
「タフな精神」が求められる。
1回あたりの出産率は?
1回あたりの出産率は、全体で12%。
34歳まで20%、
35歳18%、36歳16%、37歳15%、
38歳13%、39歳11%、40歳8%、
41歳7%、42歳5%、43歳3%、
44歳2%、45歳から1%以下……
加齢で毎年、有意に下がり続ける。
40歳で8%……
これに50万かける気力が何回続くか。
34歳なら20%。
50万かけるときのストレスが全然違う。
30代後半になれば、
1年たりとも無駄にできない。
20人に1人
体外受精実施数は42万件。
出産したのは5万人。
つまり総出産100万人のうち、
体外受精児が5万人である。
全体の1/20であり、
クラスに1人はいる計算だ。
意外と多い。
1回あたり50万円前後を、
何回チャレンジできるのか……
1人産むまでに高級車1台分くらいが
平均的な費用である。
体外受精は、経済力がモノを言う。
年齢と決断
10人に1人が不妊症といわれる。
不妊症10人のうち、
4人が①タイミング治療②排卵誘発薬で妊娠できる。
さらに、
4人が③人工授精④体外受精で
妊娠に成功する。
(妊娠できても総流産率は15%)
残り2人は妊娠すらできずに終わる……
では、「妊娠できなかった2人」は
妊娠できない体質の人か?
初診の「決断が遅かった人」なのである。
妊娠しやすい人
妊娠する可能性は加齢でどんどん
下がっていく。
妊娠率自体は、
ほぼ「妊娠しやすい人」のデータなので、
40歳前後でも意外と率は高い。
しかし……
妊娠しにくい人
片方でも「妊娠しにくい人」の場合は
上記確率の1/10である。
自己流タイミング法による自然妊娠は
ほとんど期待できない。
産婦人科に行く決断、
ステップアップする決断、
体外受精に踏み切る決断、
妊娠を諦める決断……
さまざまな「決断力」が試される。
20代は?
20代の何の問題もないカップルは
タイミングが合えば1回あたり、
25~30%で妊娠する。
いつか子供を産みたい、と
考えている女性は90%以上。
出産希望年齢は28歳が最多。
30代は?
1~2年できなければ病院へ……
受診を考える人が多い。
20代ならそれでいいが、
30代は半年~1年で受診を決断したい。
卵管や精子の異常がわかるだけでも
大きな前進となるからだ。
不妊治療は身体的な負担は少ない。
むしろ精神的な負担が大きい。
早ければ早いほど
精神的な負担は少なくて済む。
35歳以上は半年で決断を
「もっと早く行けばよかった」と
言う人がほとんどである。
「行かなきゃよかった」と
言う人はめったにいない。
平均37~8歳
平均的な初診の年齢は、
37~8歳と遅くなってきた。
産婦人科での妊娠活動は、
2年以内をメドに出産を目指す。
ステップアップの順番をとばすことも
しばしばある。
初診の年齢が遅い人が、
「妊娠できなかった2人」のほとんどである。
40代は?
体外受精は40歳でギリギリセーフ。
せっかく妊娠しても
一度くらいの流産は珍しくない。
42歳がほぼ限界。
43歳が限界ギリギリ。
希望が絶望に変わるのが、
44歳である。
妊娠を諦める決断を下す時。
45歳を超えると、
受け入れてくれる病院はほとんどない。
卵子と精子
卵子が主役である。
精子は使い捨てのスイッチに過ぎない。
良い精子は大して貴重でもないが、
良い卵子は、大変貴重な存在である。
卵子
卵子は産まれた時に
一生分の数をもっており、
それ以上増えることはない。
この点が、
何歳でも大量生産できる精子との
最大の違いである。
減少・劣化するだけ
卵子は一緒に歳をとっていく。
つまり、
自分の年齢と卵子の年齢は
同じである。
そして、毎月1000個減っていく。
その数は初月経時で30万個、
35歳の時点で3万個にまで減る。
一生のうちで排卵される卵は
約500個である。
35歳から劣化
35歳から形がいびつになり、
弾力性が落ちてくる。
卵子がうまく細胞分裂しなくなり、
着床しなくなったり、
流産したり、遺伝病が発現しやすい。
妊娠は卵子で決まる
卵子は生産工場である。
良い卵子さえあれば、
精子の数が少なかろうと元気がなかろうと
妊娠率それ自体は同じである。
精子はただのスイッチ
精子はDNAの半分に尻尾をつけただけ。
受精したら用済みであり、
使い捨ての存在である。
年齢も関係なく、
70歳以上のジジイでも大量生産される。
奇形だと受精できないし、
ジジイ精子でも探せば元気なのは多い。
元気がなければ人工授精があるし、
顕微授精という最終手段もある。
ボッキできなくても勃起薬があるし、
最終手段としてタマタマに針をブッ刺して
精液を取り出すことが可能。
イヤァァァァ!!!!!
つまり、
体外受精まで視野に入れるなら、
男性にタイムリミットはほぼない。
精子の旅
なぜ排卵1~2日前が
ベストタイミングなのか?
それを理解しよう。
ゴールの卵管膨大部まで、
17cmの旅である。
45分でゴールだが……
射精された精子は卵管まで15分。
さらに卵管膨大部まで30分。
ここに卵子が出てくる。
45分でゴール。
ただし、
射精後すぐの精子に受精能力はない。
5時間で受精能力が発現する。
つまり、
射精後6時間で受精可能な状態で
卵子を探し回ることになる。
過酷な旅
女性の膣内は子宮に細菌・ウイルスが
入らないように強酸性である。
精子は酸性に弱く、99%はここで死ぬ。
子宮頸管では白血球の攻撃があり、
子宮に辿り着くころには1000個以下まで減る。
受精
精子と卵子が元気なまま接触すれば、
めでたく受精となる。
排卵3日前から当日あたりに
受精のチャンスがある。
まだ喜べない。
受精=妊娠ではない。
着床=妊娠である。
着床
(Wikimedia Commonsより引用)
受精して1週間で着床する。
受精卵が子宮に到達し、
子宮内膜と結合することを着床と呼ぶ。
着床をもって妊娠の成立である。
その後、
子宮に埋まって成長していく。
不妊症の原因
6組に1組の夫婦が不妊で悩んでいる。
通常の夫婦生活で1年間妊娠しないと、
不妊症の疑いがある。
不妊の頻度は、
20代9%、30代前半15%、30代後半22%
40代前半30%となっている。
主な原因は4つ
・排卵障害(月経・ピックアップ異常など)
・卵管の癒着
・精子の数や運動が足りない
・ストレス
とはいえ、
1/3は原因不明の不妊である。
ほとんどの人は原因が発覚しない。
原因が発覚して、
すぐに妊娠できる人の方が珍しい。
不明のまま、あらゆる手を使って
妊娠するのを待つのが普通。
女性の検査
(http://www.e-mcast.co.jp/prodetail/detail_103222.htmlより引用)
あの診察台に乗ってエコー(子宮・卵巣)
X線(卵管)、血液(ホルモン)の検査。
男性の検査
精子の数や運動などを検査するが、
不妊治療において、
男性の出番はほとんどない。
なぜか?
精子が正常であろうがなかろうが、
することは1つだからだ。
病院または家で自家発電して
精液をもってくるだけ。
検査でも人工授精でも
体外受精でも発射してオワリ。
ストレスが一番の敵
妊娠率が大きく下がる。
仕事をやめたらすぐ妊娠した、
という話は珍しくない。
あまりに努力すると
かえってストレスが溜まる。
神経質になると
よけいにストレスが溜まりやすくなる。
なかなかできることではないが、
楽観的な方が良いとされる。
では、
ストレス解消の嗜好品の影響は
どうなのか?
タバコは?
数百種類の有害物質があり、
胎児にも移行しやすい。
夫が喫煙者であれば、
妻が非喫煙者でも胎児の尿から
ニコチンが検出される。
流産・低体重・先天異常などの
危険があるとされる。
酒やカフェインに寛容なドクターでも
タバコは止めるように言われる。
しかし依存性が強く、
なかなか止められずに悩む妊婦が多い。
酒は?
1日につきワイン1杯、
ビール350ml程度であれば大丈夫、
というドクターもいる。
毎日飲酒していても
気づいたら妊娠していた、
というのも多い。
とはいえ、「控えた方がよい」とされる。
男性は精子濃度・運動性が低くなり、
女性は月経不順の傾向がある。
妊娠前の正確な研究データはない。
しかし、妊娠が判明すれば
飲酒・喫煙・カフェインが
胎児に悪影響なのは明らかである。
早めの禁酒が必要
「超」妊娠初期の0~4週目には
脳や脊髄ができる「超」重要な時期である。
しかし、
この段階ではまだ胎盤ができておらず、
アルコールが胎児に届かない。
理屈ではまだ飲酒OKだが……
一般的に女性が妊娠を自覚するのは、
妊娠してから次の「生理が来ない」
5~7週目あたりである。
妊娠に気づいてからの禁酒では
「遅すぎる」のがわかるだろう。
どうしても止められなければ仕方ないが、
禁酒が基本である。
カフェインは?
胎児の精神を興奮させ、
頻脈などのアクセルをかけてしまう。
利尿作用があり、
大量摂取で栄養素が出て行ってしまう。
アルコールよりも制限がユルく、
1日1杯であれば許容するドクターも多い。
が、避ける方が無難。
男性のサウナ・長風呂は?
玉袋は外側にブラブラしている。
タマタマが37℃以上に暖まると
精子ができにくくなる。
体温より低めの32~34℃が
精子生産の適温であり、
玉袋を長時間暖めるのは避けた方が良い。
しかし、
通常の入浴はまったく影響ない。
神経質になる必要はない。
種々の問題
双子、サプライズ退職、障碍児、黒感情、金欠……
不妊治療には、
さまざまな問題が襲い掛かってくる。
双子
排卵誘発薬は、
①タイミング治療で妊娠しない場合に使う。
卵子を育てたり、排卵を促す。
双子や三つ子などの確率が上がる。
自然妊娠では1%だが、
排卵誘発剤の注射薬を使えば、
多胎の確率は20%に跳ね上がる。
双子だと出産の負担も、
育児負担も数倍に跳ね上がる。
(双子の育児負担は4倍以上)
実際に子供を育てた身だが、
双子を見ると「ゾッとする」のが
正直な感想である。
ちなみに、
虐待の発生率は3倍以上といわれる。
双子は可愛いが、現実は甘くない。
減数手術によって、
数を減らすことはできなくもない。
減数手術
胎児のアタマにカリウムを注入して
殺して数を減らす。
いわゆる、「間引き」である。
その際、胎児は逃げまどい
もがき苦しんで死んでいく……
ピンセットでアタマを潰して、
手足をもぎ取って搔き出す。
残酷だが、仕方ない面もある。
体外受精でサプライズ退職
90%以上が仕事と体外受精の両立は困難、
と回答している。
働く女性の場合、
一定期間は毎日通うことになる。
2~3日前に行きなり来院するように
指示される。
最低でも半休、できれば丸1日休みたい。
しかし、
不妊治療のための休暇制度はない。
事前に予測できず、通院も多い。
卵子の育ち具合のチェックが必要。
「明日また来てください」
「2日後でいいですよ」
上司や同僚には、
ある程度打ち明けておかないと、
「大」迷惑をかけるハメに。
不妊治療中とわかれば、
たいがいのことは大目に見てもらえる。
……が、
なかなか言えない現状もある。
不妊治療が原因で、
誰にも言えずに退職する女性も珍しくない。
なぜなら、
不妊治療を受ける働く女性は、
30代中盤や後半が多い。
責任ある仕事を任される立場である。
仕事にボコボコ穴を開けられないのだ。
男は休まなくていい
不妊治療において、
男の出番は「精子を発射」するだけ。
発射後は奥さんに託せばよいので、
普通に出勤できる。
仕事を休む必要はない。
障碍児
出生率というのはダウン症はもちろん、
重度障碍児・超未熟児も含めた数字である。
40代では健常児の確率は下がり、
障碍児・早産の確率が飛躍的に上がる。
1000g以下で産まれたら、
障碍児でない確率は数百分の1。
2000g以下で産まれたら、
3、4歳で「あれ?」なることが
ほとんどである。
奇形・流産リスクは
30歳から増加し始め、
38歳から急増する。
ダウン症の確率は
20代で1/1500だが、
45歳では1/30である。
黒い感情
待合室は殺気立っている。
騒ぐ子供は死ね!
休日のショッピングモール。
家族連れを見てイライラ。
ボテ腹をなでる妊婦にイライラ。
友人からLINEで妊娠の報告がくる。
他の友人からも妊娠報告に出産ラッシュ。
その反面、
一生子供を持てない不安が襲う。
素直に喜べない……
喜びはゼロ、嫉妬が100%。
ぶっちゃけ、流産の報告が聞きたい。
SNSは退会⇒アンインストール。
不妊症あるある、である。
金欠
不妊症治療の予算は、
150万円前後がボリュームゾーンである。
治療開始から平均2年で妊娠に至る。
人工授精までならカネの心配は不要。
しかし、
体外受精ではどんどん貯金が減っていく……
助成金と制限
住んでいる地域で助成金は異なる。
おおむね、
1回の治療費50万円くらいのうち、
15万くらいが補助される。
所得制限は夫婦で730万円。
フルタイムの共働き夫婦には厳しい。
40歳未満は6回、40歳以上は3回まで、
などの回数制限もある。
申請や制限が多くて使いにくいと
評判が悪い。