【Gif動画】ニコ生主TEDZU「富士山1500m滑落」事故動画生配信まとめ

属性は水




富士山頂から滑ってみた。

TEDZU:塩原徹(47歳無職)。
お鉢巡りでアイスバーンの斜面を
アイゼンつけずに歩きスマホ……

「よし、逝くぞ」
冬富士名物1500m滑落を
生きたまま生中継するという、
前代未聞の動画が配信された。

彼を非難する声も多いが、
誰にでも間違いはある。
今後多くの登山者の滑落を
未然防止する動画を残したという、
社会貢献度の高さを評価すべきだ。

秋は冬山

富士山は独立峰のため風を遮る物がなく、
秋からは極寒の強風が吹き荒れ閉山する。
2019年では、
山頂付近は10/22に初冠雪が観測済であり、
事故当日の10/28はすでに「冬山」であった。

日本で一番寒い都道府県は、
北海道(冷帯)ではない。
静岡県だ。
富士山の静岡側は海から近く、
冬には海から極寒の風がダイレクトに
ブチ当たるので気候区分では「寒帯」に属する。

名物「1500m滑落」


(https://www.youtube.com/watch?time_continue=3&v=64ekKwRIXHQより引用)
このGif画像は彼ではないが、
彼の滑落現場から遠くない場所である。
登山者のすぐ脇で滑落事故が起こっている。
(わかりやすいようにスロー再生にした)

「滑り出したら止まらない」ことを
イメージできると思う。
実際は新幹線並みの速さなので
カメラが追いついていない。

そして、
このような滑落事故は
決して珍しくはないのである。

彼だけではない

冬富士での滑落は定期的に起こる
2年間で6名も滑落死することがあった。

例)
2016/11/20 2000m滑落で2名死亡
2016/12/4 500m滑落で1名死亡
2017/1/1 滑落(?m)で2名死亡
2017/5/5 滑落(?m)で1名死亡

表に出ないような軽度の滑落などは、
日常茶飯事である。

死の滑り台


(Google Earthより引用)
まずは彼の滑落地点を見てみよう。
かなりの急斜面である。
夏の画像なので地面がむき出しだが、
当日は既に冬山……
全体がアイスバーンとなっていた。

これは、彼の滑落画像である。
斜面がスケートリンクの如く
ツルツルなのがよくわかるだろう。

「急斜面+ツルツル=滑落」
滑落は些細なスリップから始まり、
どんどん無慈悲に加速していく。

この後、どうなったか?

もうどうにも止まらない


(https://www.youtube.com/watch?v=l-dMVvvIt8Mより引用)
このGif画像は彼ではないが、
下半身が千切れて転げ落ちている。
滑り始めは人間の形をしていても、
1kmも滑落すればこの状態だ。
それでもまだ、止まらない……

ニコ生主の遺体は頭と下半身が欠損し、
性別すら判別不可能だったため
DNA鑑定で身元を確認したという。

こんなに恐ろしい「死の滑落」を
生中継した人物とは?

TEDZU(テツ)

2016年
好きな女生主と2人で富士登山。
その思い出に浸るため、
その後何度も富士山にソロ山行。

2018年 大腸癌(stage4)から回復。
2019年 10/28滑落事故

塩原徹(しおはら てつ)


47歳無職(司法浪人生?)
東京都新宿区西早稲田在住。

滑るのは司法試験だけにしたかった……

あの日


10月28日
8時頃 新宿駅出発
「河口湖駅で乗客居なくなった ビビる」
「富士山行きます 雪深そうw」
10時半 吉田口から登山開始
「バス酔で気分悪い もう帰りたい」
14時半 山頂(浅間神社)
14:40 お鉢巡りで滑落

10月30日 遺体発見

実力を過信


雪の富士山をノーアイゼンで
吉田ルートを4時間で登頂……
夏のようなジジババ渋滞がないとはいえ、
47歳にしてはかなりの体力である。

年齢にしてはずいぶん若く見える。
この写真なんか20代にも見える。
動画の声や喋り方も20代そのもの。
この年で無職であることからも、
「若い」というか「幼い」のかも。

体力で登れる高山


富士山が他の3000m峰と違うのは、
完璧に確立されたルートがあり、
独立峰なので見通しが良く、
霧さえ無ければ道迷いもしない。
その点が、
北ア南アの3000m峰と大きく異なる。

彼はトレーニングを積んでいたようで、
体力にはかなりの自信を持っていた。

しかしそれが、命取りになった。
10時半登頂開始って、
高尾山じゃないんだから……

なりすまし


全く無関係なのにTEDZUを名乗り、
無事を報告する人物が発生した。
「本人なりすまし」で再生数が爆伸び。

それに味を占め、
次はTEDZUの兄になりすました。
彼を「一家の恥さらし」と呼び、
死を喜ぶというキチガイ全開動画だ。

アタマのネジがぶっ飛んでいる。
ネットで騒いでるだけならともかく、
凶悪事件を起こさないといいが……

シミュレーション

オレは彼の動画を見て反省した
危険地帯で歩きスマホなどは
オレもやっていた。

今後、彼の動画で救われるのは
オレかもしれない……
ゆえに彼の滑落事故を
徹底分析せずにいられなくなった

問題点は2点

「装備」と「時刻」である。

服装はジジババが紅葉を見に行くレベル。
さらに、
12時前には下山開始しないといけないのに、
14時半からお鉢巡りを開始してしまった。

装備


スニーカー・トレッキングポール

(アイゼンなし・ピッケルなし
スパッツなし・テントなし)

この装備では、冬は標高700mが限界。
彼が歩いていたのは標高3700m……
許容範囲を3000mもオーバーしており、
「足りない」というレベルではない。

時刻

3776mの山頂から2400mの富士宮口まで
夏は3~4時間、冬は6~8時間が目安。

冬富士を速足で下るのは、
装備万端のベテランでも無理。
新雪でキシキシしてれば4時間くらいだが、
それすらアイゼンなしでは不可能。

凍っていると下りの方が時間がかかる。
できれば、登りの倍の時間を想定したい。

既に遭難していた

14:30に山頂にいる時点で「詰み」。

10:30登頂開始では、
途中で引き返さないとビバーク確実である。
冠雪のエリアを進んでいる時点で、
彼はすでに遭難状態だった。

しかし、
遭難しているという自覚を持てず、
パニックを起こしている自覚も持てず、
お鉢巡りへと進んでしまった……

17時には真っ暗に

この時期の富士山は、
16時半から一気に暗くなり始める。

周りのガチ登山勢が次々に
引き返しているにもかかわらず、
彼は進んだ。

彼が山頂に着いたのは14:30であり、
真っ暗になるまで2時間半しかない。
山頂からすぐに引き返したとしても、
間に合わなかった計算になる。

おそらく、
お鉢を回り終えた頃にヘッドライトをつけて、
その明りで下山する予定だったと思われる。
また、
夏と同じ感覚で下山を3時間以内で
済ませるつもりだったのだろう。

昼に溶けた雪は日が暮れて固まり始め、
夜にはアイスバーンとなる。
アイゼンをつけていない彼は
お鉢で滑落しなくとも、
いずれ下山途中で滑落していたはず……

奇跡的にバス停まで着いても、
最終バスに間に合わないので、
そこで一泊しないといけない。
バス停の標高は2400mなので、
疲れと安心で寝てしまえば凍死だろう。

滑落まで

滑落までを18のパートに分けた。
実際の風景と上空からの視点で
位置関係を把握してほしい。

①頂上(強風)


「指ヤバいから日向で暖めよう」
「日向は逆に風が(強い)……」
「ちょっと、指がヤバい」

この10分後に1500m下った場所で
頭も下半身もない凄惨遺体になっているとは、
彼も想像がつかなかっただろう。

②歩きスマホ


「指がヤバいのにスマホを
操作しないといけない、この苦行」
「指、感覚ねーわ」
「感覚ないから手袋が上手く入らん」

雪原というより、氷原……
指の感覚が無くなったり痺れたりは
冬の低山でもよくあることだが、
この場では回復不能で危険。
彼のグローブは厳冬期用でなく、
しかもたぶん一重なので、
放置すれば凍傷になる。

③思考力低下

「急ぐわ剣ヶ峰」
「あぁ、行こう」
「指ヤバい」
「けどスマホを操作しなきゃならない」
「カイロ持ってこなかった」

このカイロは防寒目的ではなく、
指先を暖めてスマホを操作する目的で
欲しかったと予想する。

寒さによる「思考力の低下」で、
リスナーとの会話、つまり
スマホのことしか考えられない状態に
陥っている。

④暴風の中を進む


「指が痛いっつーか、感覚がない」
「人いないね」
「ちょっと待って指……」
「でも行くしかないね」

この時刻に「山頂にいること」を
一番気にしなくてはいけないのに、
指=スマホのことばかり気にしている。
つまり、
「あと2時間半で真っ暗」になるという
数時間先のことすら頭が回らない。

画像だと伝わらないが、
動画だと暴風が鳴り響いている。

⑤先行者の足跡


「けっこう固まってんね、ここ」

日陰=アイスバーンという、
非常に重要なヒントがあった。

⑥指(=スマホ)ばかり気にする


「そして下り」
「下り注意ね、コケないように」
「指暖めよう」「指がヤベー」

彼が山頂にいたときの気温は-5℃。
軽装の彼は低体温症になるので
脳が鈍くなりやすい。
ヤバいのは指ではなく、脳だ。

⑦最後の足跡


先行者はここで引き返したらしい。
素晴らしい判断力と決断力……
トレースが多いということは、
何人もここで引き返したということか。

「滑るな、ここ滑るなぁ」
「あぁ……風があるね」

実際、彼はこの先から、
「滑る」を連発するようになる。
足音がヤバい……
雪の上を歩くギシギシ音ではなく、
氷の上を歩くペチペチ音である。

⑧足跡のない道


「ああ滑った!」
「滑る、ホンマに滑る」
「なかなか滑るな……」
「ちょっと指ヤベー」

プロといえば、厳しい状況でも
進んでいくイメージだが実は逆だ。
プロはむしろ、アッサリ引き返す。

右か左か

冬のぶ厚い積雪は強風で磨き込まれ、
氷雪の形は毎年変わる。

この状況では現場を見て、
「自分で」ルートファインデングを
していかなくてはならない。

⑨運命の分かれ道


「よし行くぞ!」
柵とロープに誘導されて、
危険な左方向へ……

状況で判断が必要


夏は左ルート(黄色)でいいが、
この状況では、
右ルート(水色)が安全と考えられる。
ポイントは、時刻

時刻は14時半過ぎである。
正午を境に日陰と日向が逆になっている。
それが命取りになった……

どういうことか?

日陰と日向

左ルートは午前中は日向であり、
雪が解けていた。
午後になると日陰になり
解けた雪が固まってアイスバーンになる。

右ルートはその逆。
午前中に日陰で締まっていた雪が
午後に溶けてグリップが効くようになる。
しかも、
雪が積もることで夏より平坦になっている。

このコンディションと時刻なら、
右の方が良さそう。

フェンス方向に行きたくなる

初心者ほどフェンスにしがみついて
左ルートに進んでしまうだろう。
もちろん彼は左に行ったし、
オレもたぶん左に行ってしまう。

ここで迷わずフェンスから離れて
右ルートに進める判断力のある者のみが、
冬富士に登る資格があるのだろう。

⑩スマホのことしか頭にない


「山頂こんな感じッスよ」
「指ヤベー」
「落ちないようにしないとね」
「貸切おじさんスよ」
「電波あってよかった」
「指ちょっとヤバイいね」
「指痛くて感覚がない」

スマホって怖い道具だ。
ラインの言葉1つで、
人間関係が崩れたりするし。

いろんな意味で、
人間の感覚を狂わせもする。
彼は1人で死にゆく状態なのに、
仲間と行動している気になっている。

⑪足跡がない場所


「指ヤベー」
「(景色が)キレイなうちに指あっためる?」
「スマホホルダーあったら良かったね」
「ポケットにスマホ入れてるから」
「(手袋が)外れないちょっと待った」
「指感覚がないからね」

自分の死地が見えたというのに、
スマホばかり見ている。

⑫脇作戦


「ちょっと待てどうする指?」
「よし、脇作戦だ」
「脇で暖めよう、指を」
「あんま変わらん」

彼は作戦を誤った……
タマタマをモミモミしながら進む
股間作戦の方が効果が高い(後述)。

死地へ……

滑りまくるようになってきたのに、
引き返す思考力がなくなっている。

⑬「滑る」を連発


「こういうトコ危険よね」
「(指が)ちょっとだけマシになった」
「脇作戦で……」
「うわぁ、滑る!」
「ここ滑るな」
「危険、ちょっと危険」

フェンスが途切れるあたりから、
急に「滑る」を連発するようになる。

⑭傾斜がキツくなる


「ちょっと待って」
「斜度が30°くらいあるけど」
「ちょっとな……」
「滑るな!危ないな」

氷雪の急斜面が現れた。
見るからに滑りそうな感じがする……
かといって、
フェンスから引き返たところで
下山途中で真っ暗になり
違う場所で滑落か凍死だろう。
長い時間凍える思いをして
苦しんで凍死よりはマシか?

⑮フェンスを越えた


「岩を伝って行こう」
「この小さい岩」
「なかなか危ないここ」
「滑って下山する?」
「ヤバい、よし行こう」

フェンスの先へ、
行ってはならなかった……

⑯死線を越えた


「斜面になっちゃってるな」
「道が埋まってね半分ね」
「雪で……よし行こう、行けた」

スニーカーでここを進むか……

⑰人生最期の場所


「道合ってるの、これ」
「なんか相当埋まってんだけど、雪で」
「よし、行こう」

彼の人間としての人生は、
ここで終った……

⑱人生最期の言葉


「ここも危ないね、斜面」
「あ、す……」
「滑る!」

司法試験にも滑りまくった、
彼の人生を象徴する一言であった……

滑落

一瞬ためらって「よし、行こう」。

ここが人生の分かれ道であった……
引き返して110番通報していれば、
奇跡のワンチャンスがあった、かも。

「滑る!」


彼の人生最後の言葉である。
思えば、
滑りっぱなしの人生であった……

生配信と同じ感覚で見られるように、
このGifは等速にしてある。
では、検証していこう。

滑落直後


スリップ直後に、
トレッキングポールを突き立てたが、
虚しく空振りに終わる……
ここは反転してうつぶせになり、
岩を掴みにいくべきだった。

たぶん、
彼の心理では「まだ助かる(止まる)」と
勘違いしていたのではないだろうか。
素早い動作が感じられず、
あまり焦った様子がないからだ。

本来ならば、
転倒した瞬間にうつぶせになって
ピッケルを刺して加速する前に止める。
この場面で正面など向いてはいけない。
向いても意味がないから、
貴重な秒数を消費してしまう(後述)。

最初の5秒(7m)までにピッケルが
刺さらなければ絶望的だ。
10秒後には車より速くなっており、
ピッケルが跳ね返される。
0.1秒でも早く止めないといけない。

禁断の尻セード


滑落停止動作をせず、
凍った急斜面で尻セードという
タブーを犯してしまった。
アイスバーンでは「尻=ボール」なので
よく跳ねるし転がる。

彼の心理状態としては、
死の滑り台にセットされたこの時点で
やっと遭難を自覚したと思う。

無言に……


ここからは、
360°回転させながら説明していくので、
青矢印の岩を目印にしてイメージしてほしい。


たとえば、
90°反時計回りして南から見た画像。


(Google Earthより引用)
こちらは、
180°反転して背面から見た画像。

視聴者にあれだけ饒舌だった彼が、
滑り始めてからは無言のままだ。
今から自分が行く大斜面を括目し、
「絶句した」のであろう。

最初の2秒間は普通に滑り台を
滑るような映像となっているが……

跳ねたらアカン

たとえ滑り始めでも、跳ねたらオワリ

身体が空中に浮いて回転してしまう。
一度跳ねてしまえば手も足も出ない。
あとは無慈悲な回転と加速が連発する。

1回転目(3秒後)


身体が思いっきり起き上がっている。
おそらく、
両足を揃えて岩で止まろうとしたのだろう。
人生最後の行動だった。

岩は凍っているのであっけなく通過。
その岩にボール状の尻が乗り、
彼は「跳ねて」しまった……
3秒で助かる見込みはなくなった。

正面を向くのは、これで最後
1度回ったら、もう回転は止まらない。
1500m滑落後に止まるまで
ひたすら高速回転し続ける。

つまり、
滑落が始まった以上は
正面など向いても意味がない。

2回転目


間髪入れずに次の石が迫ってくる。
デコボコはとても小さいので
Google Earthで同定できない。


ここに左尻を乗り上げて2回目の回転。
2回転するのに1秒もかかってない……


こんなに小さなデコボコで
こんなに大きく回転するとは驚いた。

3回転4回転……


3回転目。
トレッキングポールが投げ出された。

4回転目。
iPhone?が投げ出された。
GoProで撮影してスマホ経由で、
ニコニコ生中継していたらしい。
だからスマホが映っているのだ。

ラストシーン


続いて5回転を終えて6回転目に……
ここで放り出されたスマホと
GoProと彼が離れてwifiが届かなくなり、
動画がフリーズ。

ここまで、
「滑る!」からわずか7秒……
最初の回転から4秒で5回転である。
思った以上に回転が速い。
後はひたすら加速するだけなので、
回転も滑落も止まらない。


映像がフリーズしたラストシーンは
青矢印岩を過ぎたあたりだろう。
距離にして10~20mくらいか。

スマホは重力加速が弱いので、
この近くに落ちていると思う。
GoProは直線上の途中にあるはず……
貴重な映像が収録されているので、
誰か回収して動画を公開してほしい。


滑落開始から頭部を失うまで、
徐々に徐々に擦りおろされていくので、
かなり痛かったと思われる。
激突して即死できるような大岩は、
滑落開始地点⇒終了地点の直線上には、
残念ながら見当たらない……

現場検証

彼が滑落したコースを詳細に検討し、
皆さんが現場の状況を
疑似体験できるように試みたい。

国土地理院地図


彼が滑落を開始したのは、
お鉢のちょうど真東あたり。
現場に沿って崖があるようだ。
遺体発見現場は太陽館から南に800m。
小山町の「山」のやや北あたりだ。


図解すると、こうなる。
動画では単なる岩場と勘違いしてしまうが、
地理院地図では崖が記載されており、
Google Earthでも崖は確認できる。

後方から検証


もう1度、尻セードの画像を見てほしい。
ほどんど雪で埋まっているが、
左側に崖が続いている。


視点を少し上げて見やすくすると、
彼がいた風景はこんな感じだろう。

斜めから検証


滑落開始地点はこれまでの道よりも
急斜面になっているのがわかる。


事故当日はぶ厚い氷雪で埋まっており、
Google Earthの画像よりも
もっと滑らかで急な斜面であったのは
動画でわかる。

下から検証


7合目より下っても
急斜面であることに変わりはない。
角度で停止したというよりは、
雪質の変化で停止したのがわかる。

崖に沿って進んだ

Google Earthだと
崖の部分が盛り上がっているが、
滑落コースはほぼフラットなはず。

そのため、
カーブすることなく直進したと考えられる。
と、いうのは……

Google Earthは開山期


Google Earth(開山期)と
事故当日(閉山期)では氷雪の量が桁違い。


たとえば、
柵が途切れるあたりの地面が
ここまで違う。
Google Earthの地面は
スニーカーでもなんとかできそうだが、
事故当日はアイゼンでも危険だ。

東西南北の上空から

7合目付近まで下れば、
厳冬期でもアイゼンが効くエリアとなる。
つまり、
アイスバーンが雪になりはじめる。

雪による摩擦が発生し始めるので、
滑落は7合目で終了となる。

東西南北



太陽館より

1500m滑落という
距離感やスケールなど、
現場の状況を想像できただろうか?

冬富士とは?

冬富士といえば、アイスバーン

夏はジジババがピクニック感覚で登り、
冬は上級者がヒマラヤ登山の訓練に使う。

夏は仏、冬は死神……
夏と冬でこれほど難易度に差がある山は
世界的にも珍しい。

猛烈な風


周囲に風をさえぎる山がないので
冷たい風がダイレクトにぶつかる。

冬は気温-20~30℃、
風速20~40mくらいが目安。
たとえば、
気温-30℃で風速30mなら、
体感温度は-50℃である。

ひとたび天候が悪化すれば、
北西からの季節風が風速50m以上、
-40℃以下で襲いかかってくる。
ヒマラヤ8000m峰の風に等しく、
何時間も一歩も歩けない状況となる。
そのまま日が暮れてしまえば……

さらに、
高さによる酸素不足で
頭痛・めまい・眠気が襲い掛かる。
つまり、
天候予測の失敗は「死」を意味する。

風速と行動


(Wikimedia Commonsより引用)
天候が悪化した場合は、
気温がマイナス数十度の氷の急斜面で
台風の中を歩くことを想像してほしい。

風速30mまではなんとか行動できるが、
40mになると吹き飛ばされかねない。
(強い台風=風速44m~)
50mを超えれば「猛烈な台風」と
ほぼ同等であり、行動は不可能。

さらに怖いのは突風。
その場その場の瞬間最大風速は、
予測も計測も不可能である。
富士山は遮る物がないので、
局所的な突風が発生しやすい。

実際、突風による滑落も多く、
冬の富士山は夏のエベレストより怖い
という登山家もいる。
エベレストより冬富士のほうが
想定外の事態が起こりやすい
ということだろう。

アイスバーン


(https://blogs.yahoo.co.jp/fujisanski/26724924.htmlより引用)
日向と日陰を繰り返すことで、
溶けたり締まったりを繰り返して
平らな急斜面を形成していく。
氷雪は夜中にカチカチに固まり、
強風で磨き込まれてピカピカになり、
アイゼンやピッケルを跳ね返す……

富士山の上の白い部分は、
遠くからだとサラサラの雪に見えるが、
近くで見るとカチカチの氷なのである。

8合目から特に危険


(https://www.flickr.com/photos/84263554@N00/518841549より引用)
厳冬期(1・2月)の8合目以上は、
コンクリート以上に固い氷になる。


水色のラインが、
おおむね7合目と8合目の境界である。

宝永山火口の上端までのエリアは
地面の筋が見える。
彼の滑落が止まったのもその高さだ。
そこから上は真っ白で雪の厚みが
全然違うのがわかると思う。
ピンピンに磨いたアイゼンが
1mmも刺さらなかったりする。

さらに、
強風で身体も浮きやすいし、
突風で吹き飛ばされることもある。

とはいえ、天候次第。
良ければ中級者でも登頂可能だし、
悪ければプロでも死線を越える。
つまり、
天候予測・登山計画の時点で
命が懸かっていることになる。
彼は登山計画すら立てず、
その場のノリで登ってしまった……

タイミングが悪かった

彼が登ったのは厳冬期ではないが、
冬山となった富士山頂である。
場所とタイミングにより
厳冬期並みに危険な場所はある。

崩れたりしてたまたま急斜面ができ、
そこの雪が午前中日向で溶ける。
午後に日陰となって固まって、
そのタイミングで通る……
彼の滑落事故現場が、まさにそれだ。

なぜ1500mなのか?

バラバラでミンチになるような滑落が、
あんなささいなスリップから始まるとは……

今後多くの登山者に
「引き返す」「中止する」という
選択肢を与えた彼の功績は大きい。
オレも今冬に行こうとしていた
痩せ尾根は延期することにした。

雪質が変わる

8合目付近まではツルツル急斜面だが、
7合目付近で氷が雪になりはじめて止まる。

三角定規

富士山頂付近(3700m)からの滑落で、
遺体は標高差800mの地点で発見された。


富士山の山頂付近は横から見ると、
皆さんが小学校の時に使った
90°60°30°の直角三角形の定規に
近い形をしている。

スキーなら上級コース

傾斜は30°であり急斜面の部類だ。
学校で習った公式に当てはめると、
800×2=1600m。

実際は直線よりもヘコんだ円錐形なので、
少し短くなって約1500mと予想される。

なぜ高速回転する?

これは配信動画で容易に確認できる。

富士山のアイスバーンには、
至る所に岩が突出している。
巨大な滑り台の上に点在する突起物によって、
ぶつかる度に回転して跳ね上げられる。

小さな突起でも大きく回転するので、
回転しだすともう止まらない。

石と同じ原理


上流の石と下流の石のように、
回転により出っ張った部分が削れて
丸くなっていく……
人間でいえば、頭部や手足にあたる。

捜索隊
「滑落遺体の多くは胴体しかない」

なぜ途中で止まらない?


(Wikimedia Commonsより引用)
富士山は独立峰のため、円錐形である。
アイスバーンの上をほとんど宙を舞う形で
滑り降りるので摩擦係数は無視できる。

3700mもの膨大な位置エネルギーが
無駄なく運動エネルギーに変換されていく。
そのため重力加速が大きく、
時速200km以上に達するといわれる。
これは新幹線並みのスピードである。

アイスバーンの途中で止まる方が
逆に不自然だ。

冬山の魅力

日常のくだらないストレスを
全部忘れるにはどうすればいいかって?
答えは簡単だ。
命が懸かるようなことをすればいい。

そうすれば、
目の前に300%集中せざるを得ない
くだらないことは頭から全部ふっとぶ。

危険な趣味というのは、
そういった中毒性もあると思う。

下りが危険

事故の大半は下りで発生する。
特に冬は「登れる」からといって、
「下れる」とは限らないのである。

下りというのは、
夏は登りより速いが、冬は遅くなる。

登りはつま先

登りはつま先を使える。
前を見ながら、前に体重をかけて進めるので
転倒のリスクは少ない。

ただし、同じ山でも普通に登るのと
アイゼンを効かせながら
踏み込んで登るのは体力の消耗が全然違う。
しかも、冬山の下りは登りより大変だ。
頂上で体力切れになるのは避けたい。

下りはカカト

下りはカカトしか使えず、
体重を後ろにかけるのでバランスが悪い。
または、
後ろ向きになればつま先を使えるが、
バックなので進行方向が見えないし、
時間がかかって仕方ない。

登りでコケることなんてほとんどない。
コケるのは、ほぼ下り。

ゆえに、
下りの方が滑落リスクが大きい。
彼のように登りはアイゼンなしで
なんとかなっても、下りは絶望的だ。

オレも山をナメていた

冬にトレッキングするとき
回り道するのが面倒で、
土砂崩れで立ち入り禁止なのに、
「凍ってるから大丈夫だろw」と考え、
いつも凍った沢の上を横断していた。

山で歩きスマホ

一歩一歩魂を込めてステップすべきなのに、
「ここでコケたら死ぬw」などと
凍った急斜面を面白半分でラインで送り、
アイゼンに頼りスタスタ歩いていた。

鎖場で片手を離してスマホを出し、
ラインで景色を送ったり……
歩きスマホで氷雪を進む彼とオレは、
まったく同じだったのである。

す、滑る……!

あの感覚、すごくよくわかる。

「さぁ、スタートだ」という時に、
アイゼンを忘れるという大失態……
そのまま帰るのもアレなので、
凍った道路を登山靴だけで歩いてみた。

ツルツルのアスファルトは歩くどころか、
立ってさえいられなかった。
彼はアレをスニーカーで進んだのか……

彼が助かる方法は2つ

パラシュート作戦と股間作戦である。

パラシュート作戦は現実的でないが、
股間作戦は現実的な方法である。

パラシュート作戦


(https://www.jili.or.jp/kuraho/2005/essay/e2005_12.htmlより引用)
加速した後で求められる道具は、
アイゼンでもピッケルでもなく
「パラシュート」である。

実際、
プロスキーヤーの三浦氏が
富士山頂からパラシュートを使って
滑降に成功している。

須走ルートに方向が合っているので、
良いタイミングでパラシュートを開けば
一瞬で下山の距離を稼ぐことができ、
最終バスに間に合ったかもしれない……


(https://www.youtube.com/watch?v=JIFeyVf3aeYより引用)
岩にぶつからなければ、だが。

股間作戦

彼は助かった方法はコレだと思う。
脇ではなく、股間で手を暖める作戦だ。
救出シミュレーションをしてみよう。

脳が活性化


タマタマをモミモミしたり、
棒を握ってたりしているうちに
性欲が刺激され脳が充血
脳の酸素不足が一時的に解消。
と同時に、思考能力低下が改善

富士山頂でチンチンを握りながら、
我に返る……
「オレこんなとこで何やってんだろ?」と
自分を客観視できる状態にまで回復。

快調に進んでいた足取りを
突然止めて、混乱し始める。
見かねたリスナーが警察に通報

生配信の威力

彼の装備と場所を聞いた捜索隊は
救助活動を断念……

しかし、
ネットで大騒ぎになり、
テレビでも騒がれ始めた。
おまけに、
彼の様子はゴールデンタイムにて、
生配信の最中である。

今どきは小学生までスマホを持っており、
子供たちまで彼の状況を心配しはじめ、
激励のコメントが殺到し始めた。

世論が味方に

全国の警察署で110番が鳴り止まない。
「いつ救助に出発するの?」
「まだ出発してないのかよ!」
一般人は冬山捜索の危険性など知らない。
「見捨てる」選択肢など毛頭ない。

このまま生配信を続けられると、
全国民が死にゆく状況をナマで見ることになる。
そんなものを子供に見せるわけにいかない。
「早く助けに行って!」
母親たちからも苦情が殺到し始めた。

もし行かなければ捜索隊は
「見殺し?」「信じられない!」
「何のためにいるの?」「税金泥棒」などと
ボロクソに叩かれるハメになる。

もういかなる状況下においても、
救助せざるを得ない世論になってしまった。

アタックチーム結成


(https://www.royalmountaintrekking.com/より引用)
8合目付近にベースキャンプ設置。
アタックチームを組み、夜間強行。
なんとか世論の沈静化に成功。

(https://www.nationalgeographic.comより引用)
鳥居の所で待ち合わせ、彼を回収……
温かいスープを飲ませ毛布で包み下山。
ベースキャンプで待機組に中継。

5合目に停めていた車で麓に到着。
車中はずっと説教だったが、
温泉に入って疲れを癒やし、
風呂上りのビールをやっつける。

その後……

彼は盛大に叩かれるが炎上商法に成功。
膨大な視聴者から固定ファンが残った。
無職ニコ生主⇒人気ユーチューバーへ転身。

手を突っ込む場所さえ正しければ、
人生大逆転……のはずだった。

ちなみに、
股間に手を入れて温めるのは
植村直己もやっていた方法であり、
非常に有効な手段である。

真夏でも凍死


(Wikimedia Commonsより引用)
麓では37℃の猛暑で海水浴中でも、
山頂は10℃、夜中は0℃まで下がる。
平地の12月くらいの寒さであり、
雨に濡れれば凍死の可能性がある。

右下のオネーチャンに注目。
股間作戦で脳が活性化して我に返るのを
実感できるはず……

彼がいた時点では-5℃、
夜中は-10°~20°になり凍死確実。
ゆえに18~24時の間に山頂まで
辿り着かないといけないので、
救助は夜間に強行するしかない。

当日の様子

当日近くを登っていた
ガチ登山者のコメントがあった。
当日の状況とTEDZUの様子がわかる。

すべて当日の現地画像である。
(https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=179663より引用)

滑落するコンディション


『7合目すぎたあたりから積雪。
固く締まった雪は10本爪アイゼンが
具合よくかみしめるグリップ感。

爪の跡は残るが
靴底の跡はまるで残らないので、
振り返っても痕跡が
よくわからないくらいの雪の硬さ。
気持ちよく登れるが
滑ったら滑落は避けられない。』

下りが危険だった


『登りコースはそのようなところ
今のところなかったが、
下りは危険なところがあった
画像に映っている足跡は
前日のものと思われる。
この日このコースを登ったのは
私だけのようだった。』

的確な判断


『前日の寝不足がたたり
8合目あたりから高度障害に苦戦する。
頭痛はないがめまいと眠気で
ペースが激減した。


結局、八号半で13時半を過ぎてしまい、
頂上まで登って下山すると
完全に日が暮れる時間計算。
危険な積雪部分は
明るいうちに通過できても、
6合から5合目までには
台風の影響で登山道が
土石で埋まっていたり
崩落寸前の個所もあって
ガスったら非常に危険な状況が
予測できた。

もちろんライトは所持していたが
9合目手前で下山を決める。
下山コースは危険なので
登りコースを下る。

案の定5合目到着で日が暮れた、
残念だったが判断して正解だった。』

TEDZUを見た


『下山中下山コースをソロで登りながら
何やら一人しゃべっている登山者が気になった。
5~600mは離れていたので
コミュニケーションはできなかった。
現時間では、
登頂は厳しいのではないかと思った。』

まとめ

冬富士の滑落は知っていたが、
もっと盛大なスリップから始まり、
岩に激突するようなイメージだった。

あんなに些細なスリップから始まり、
あんなに小さなデコボコで大きく浮き、
あんなにハイペースで回転するとは……
この動画を検証で初めて実感した。

TEDZUほど極端でないにしろ、
登山者なら誰でも初心者の頃に
無茶をした経験があるはず。

初心者には滑落の凄惨遺体や
検証動画をもっと積極的に見せて
ビビらせてやった方がためになる。
全身有名ブランドでキメるよりも、
よっぽど安全性が高まると思う。

https://iirou.com/everest/


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