人類未踏峰になる理由は2つある。
地形や気候など自然由来のものや
宗教や領土問題など人的なものに分かれる。
- ガンケル・プンスム 7570m
- ムシュ・チッシ 7452m
- カブルー 7412m
- ラブチェ・カンⅢ 7367m
- カルジャンⅠ 7221m
- マチャプチャレ 6993m
- 梅里雪山 6740m
- カイラス 6656m
- キュンガリ 6599m
- サウイル・スタオシ 3840m
- サイプル 3110m
梅里雪山
メイリーシェシャン(梅里雪山)とは
チベット自治区と雲南省の境目にあり、
長さ30kmに及ぶ山群の総称である。
6000m級の6座とジャワリンガが代表的であり、
連峰のすべてが未踏のままである。
すべてに厳しい
左が鋭鋒メツモ、右が怪峰ジャワリンガ。
※リンガ=おティンティンの意
主峰カワカブ。
人里から近く、高度6000m級にもかかわらず、
安全なルートがない難攻不落の山とされる。
登山できる日が一年で一ヶ月もないうえ、
天候予測が非常に困難である。
大量の雨
湿度が高い季節風によって、長江やメコン河など
複数の世界的大河になるほど大量の雨を降らせる。
ジャワリンガの麓には雨崩村なる名前の村まである。
すぐ西側が世界イチ雨が多い地域である
アッサム地方であることから容易に想像がつく。
雨量が極めて多いために、天気が急変しやすい。
冬は晴天率が高いものの、雪崩が非常に起きやすい。
サポートなし
チベットにおいて、高山は神が住む場所とされる。
梅里雪山はカイラス山と双璧をなす聖地であり、
登山隊はその神聖な地を穢す存在とされ
現地人から嫌われている。
そのため「遭難死は当然の天罰」と捉えられる。
現地人にとっては神聖な山であり、
誰も足を踏み入れたがらない。
ヒマラヤにおけるシェルパやポーターのような
サポートがなく、自力で荷揚げしないといけない。
登山禁止に
- 1991年 日中合同チーム17名が全滅
- 2000年 登山禁止に
カワカブ山頂まであと270m……というところで、
睡眠中に雪崩に巻き込まれて全滅した。
翌年8月に遺体を回収したところ、
寝袋に入ったままの状態だった。
(日本の海外登山史上最悪の被害ともいわれる)
その後、中国政府が立ち入り禁止にした。
もはや挑戦することすら許されず、
未だにすべての峰が人類未踏となっている。
気候・地形・政治・宗教……総合的にみれば、
世界でもっとも登頂が難しい山である。
カイラス
標高6656mのチベット語で「魂の住む山」……
ヒンドゥー教やチベット仏教などの聖地であり、
徒歩や五体投地でカイラスの周りを巡礼する。
聖地の中の聖地
独立峰にして、人類未踏峰とされる。
ガンジス川・インダス川の水源であり、
多くのインド人にとっては世界の中心である。
ゆえに立ち入りは「厳しく」禁止されている。
梅里雪山と違い、これまで1度たりとも
登山許可はおりていない。
シヴァ神の住居
ヒンドゥー教の最高神であり、
破壊と再生を司るとされる。
この山はシヴァ神の台座でもあり、
リンガ(男根)ともされる。
ちなみに牛はシヴァ神の乗り物なので、
ヒンドゥー教徒は決して食べない。
登頂者あり?
11世紀にチベット仏教の聖者ミラレパが
山頂に立ったとの伝説がある。
ミラレパは修行によって意のままに変身し、
空をも飛べるようになったスゴイ人らしい。
聖地巡礼
巡礼者なら1日で歩いて回ってしまうが、
外国人なら2~3泊は必要とのこと。
両手・両ヒザ・頭を地につけながら祈って進む
「五体投地」で二週間以上かけて回る信者もいる。
山としての難度は?
南壁・北壁はまさに「将棋の駒」であり、
世界トップクラスに難しいと思われる。
西から稜線に進めば頂上を狙えそうだが、
下山した後には、信者らに殺処分されるだろう。
宗教的な意味では、世界で最も難しい山である。
エベレスト周辺
ヒマラヤ奥地にはまだまだ未踏峰が
残されている。
アクセスが悪すぎ、登頂しても話題にならず、
挑戦者が非常に少ない。
ラブチェ・カンⅢ
- 標高7367m
Ⅰ峰は日本・中国の遠征隊が登頂に成功している。
エベレストとシシャパンマ(8027m)の間にあり、
ヒマラヤ山脈の中でもマイナーな場所にある。
キュンガリ
- 標高6599m
ネパールとチベットの国境にあり、
ヒマラヤの中央奥地なのでアクセスが困難である。
アンナプルナの近くにあるらしい。
地元民も存在を知らず、謎の山とされる。
エベレスト東方
このエリアは地図が不明瞭なため、
挑戦のハードルが高いようだ。
ガンケル・プンスム
- 標高7570m
- 名前の由来「三人の精神的な兄弟の白い峰」
人類未踏の山では世界最高峰である。
地図がハッキリせず、最初の登山隊は
この山を発見すらできなかった。
国境がハッキリしないために、
ブータンからも中国からも登山許可がおりない。
この山はブータン最高峰でもある。
1980年代には登山許可が下りていたものの、
すべて7000m手前で失敗している。
2003年には国王が永久未踏峰を宣言したため、
今後も登られることはなさそうだ。
カブルー
- 標高7412m
世界3位の高峰「カンチェンジュンガ」から
南に伸びる尾根上にある。。
世界最南端の7000m峰として知られる。
周辺に似たような山が多いので
場所が分かりにくいのも理由の1つだろう。
カルジャンⅠ
- 標高7221m
かつて日本隊が人類初登頂を主張したが、
調査によればカルジャンⅡ峰だったとのこと。
明確な地図が存在しなかったために
Ⅰ峰とⅡ峰を勘違いしてしまったらしい。
チベット奥地にあり、挑戦者がほとんどいない。
エベレスト西方
マチャプチャレは殺人峰「アンナプルナ」の近く。
周囲の山よりも標高が低いにもかかわらず、
一番前にあるので非常に目立つ山である。
マチャプチャレ
- 標高6993m
- 名前の由来「魚の尾」
「ネパールのマッターホルン」とも呼ばれ、
世界で最も美しい山の1つに数えられる。
イギリス隊が過去に1度だけ「山頂を踏まない」と
ネパール国王と約束して山頂150m手前まで到達。
ネパール第2の都市「ポカラ」の
シンボル的存在である。
シヴァ神に関する神聖な山とされており、
今後は登山許可がおりる見込みはない。
カラコルムの未踏峰
この地域は辺境の地であり、
登山口に到達することすら難しい。
さらに、
人が住んでいないので現地人のサポートがない。
ムチュ・チッシ
- 標高7452m
政治的・宗教的な制限がないにもかかわらず、
いまだに人類未踏である。
登山禁止でない山の中では世界最高峰である。
山頂は鋭利なナイフエッジとなっており、
2014年には6000m付近で撤退した。
高度7000m以上でこの形はヤバ過ぎる。
到達が厳しいカラコルム山脈の中でも奥地にある。
登山口までの到達が非常に困難なこともあり、
挑戦者そのものが非常に少ない。
ザンスカール
ザンスカール地方の山々には尖峰が連なる。
日本隊がいくつか初登頂を果たしているものの、
まだ未踏峰が多く存在する。
ヒマラヤ山脈の西端とカラコルム山脈の南端の
間にあり、アクセスが困難であるために
挑戦者が非常に少ない。
その他地域
カラコルム以上に辺境の地であるため、
挑戦のハードルがあまりにも高い。
サウイル・スオタシ
- 標高3840m
スタートが標高の低い位置になるために、
比高は3252mと8000m峰並みである。
天山山脈にあり、標高は3840mと高くはないが
周囲の山脈から分断されている。
サイプル
- 標高3110m
標高は決して高くはないものの、
サイプル島の海抜0mからのスタートになる。
ゆえに比高は3110mと8000m峰並みである。
アクセスが最も困難な未踏峰であり、
登山開始までのハードルがあまりにも高い……
まとめ
神聖な地として登山が許されなかったり、
国境があいまいなエリアで勝手に許可を出すと
紛争になりかねないので許可がおりない。
登山を許可すれば、隊員が糞小便を垂れる。
そのおかげでエベレストは
ゴミの山、ウンコ山、死体の山だ。
聖地における登山を許可すれば、
信者は毎日ウンコ山を拝まされるハメになる。
神聖な山が汚される……
地元民も信者が登山隊を毛嫌いし、
政府も許可を出さないのは自然なことだ。