身体は大きく、病気に弱く……
もともと日本は
野菜・魚・米が中心だったのが、
戦後から肉と小麦の消費が増えた。
食も病気も欧米化した。
欧米食のメリットとデメリット
生活面でメリットが大きく、
健康面でデメリットが大きい。
メリット
〇バラエティが増えた
〇保存が効くようになった
〇味が良くなった
〇発育が良くなった
〇塩分摂取が減った
〇和食で不足がちな蛋白質が増えた
〇動物性蛋白質が豊富
デメリット
×肥満
×生活習慣病
×アレルギーが増えた
×虫歯が増えた
×野菜不足
×品数が少ない
×脂質過多
×カロリー過多
時系列
- 戦前・戦後:貧しく栄養バランスに劣る
- 1960年代:欧米化により栄養改善
- 1970年代:ベスト⇒体が大きく
- 1980年代:スナック菓子⇒体重増加
- 1990年代:ファストフード⇒体が横に大きく
- 2000年代:生活習慣病⇒ブタ化
和食と欧米食
和食+鶏肉(皮なし)が理想的な
栄養バランスといえる。
和食
〇食物繊維
〇植物性蛋白質
×塩分がかなり過剰
×動物性蛋白質不足
米を主食として、
魚・野菜・海藻を中心とした食事である。
動物性脂肪や砂糖は控えられる。
欧米食
(Wikimedia Commonsより引用)
脂質が過剰になりやすいため、
肥満や心臓病、大腸癌になりやすい。
また、
フライドポテトやポテトチップス、
ドーナツに代表されるように、
糖質を油で揚げる料理が「大」得意。
味は最高だが、健康には最悪である。
食べ過ぎが問題
欧米食が体に悪い、
というよりは「食べ過ぎ」が体に悪い。
とはいえ、
脂や調味料タップリでインパクトある味なので
ついつい食べ過ぎてブタ化してしまうのが
人情である。
ソフトドラッグ
現代の食事は「味が良すぎる」。
調味料や添加物の発達で、
自然界に存在する味を遥かに超えてしまった。

「健康のために腹八分目にしておこう」
アタマではわかっていても、
腹十二分目まで貪ってしまう。
ソフトドラッグなので、
満腹になる途中ではやめられないのだ。
さらに、
ブタ化によって醜い体型になってしまうことが
「健康面以上の国民的な悩み」になっている。

欧米化で改善⇒理想⇒悪化
戦後は食の欧米化で改善傾向にあったが、
流入が加速して悪化した。
戦後の食事
国全体が貧しかったため、
安価な炭水化物が多く、オカズが少なかった。
栄養が偏っており、
バランスが劣っていた。
1960年代 改善
戦前の平均寿命は60歳。
欧米よりも15年短かった。
欧米食が流入し、
平均寿命が飛躍的に延びた。
(Wikimedia Commonsより引用)
コメと魚も満足に得られなかった日本が、
戦後にアメリカの指導で
パン・肉・乳製品を食べるようになった。
栄養状態が改善し、
免疫力がアップして平均寿命が延びた。
1960年代までは良い影響が目立った。
1970年代 ベスト
米・魚・野菜という伝統的な食事に加え、
肉・卵・乳製品が充実した。
果物も通年で流通するようになった。
ワカメやヒジキなどの海藻類から
ミネラル・食物繊維も豊富に摂っていた。
この年代は、バランスが良かった。
しかし、
経済・流通が発達するにつれ、
好きな物ばかり大量に食べるように
なり始める……
1980年代 体重増加
1980年代からはそれまで日本で少なかった、
糖尿病・肥満などが急増し始めた。
「病気まで欧米化」し始めたのである。
スナック菓子
(Wikimedia Commonsより引用)
欧米で激増した「スナック菓子」が
日本にも爆発的に流入。
ジャガイモやトウモロコシ、小麦の粉に
味をつけて揚げたお菓子である。
安価で大量生産でき、保存も効く。
何より、味が良い。
糖質を油で揚げる……
人類にとって夢のような食品は、
ブタ化という悪夢を呼ぶことになる。
1990年代 体重激増
欧米化の影響を受け過ぎ、
脂質の割合が増えた。
もはや子供まで成人病にかかる始末。
「生活習慣病」と名称変更するハメに。
ファストフード店
スナック菓子の次は、
ピザやハンバーガーなどのファストフード店が
爆発的に全国に普及した。
子供の頃は県庁所在地の
繁華街にしかなかったようなチェーン店が、
田舎の生活道路沿いにまで展開した。
2000年代 ブタ化
野菜・魚介類の摂取が激減し、
肉・油脂の摂取が激増。
野菜は工夫しないと美味しくないし、
魚は肉より割高だからだ。
もはや田舎のスーパーにさえも
専門店顔負けのピザやハンバーグなどが
所狭しと並んでいる。
栄養不足で健康を害することは皆無で、
栄養の摂り過ぎで健康を害する事態に発展。
飽食の時代
好きなモノを好きなだけ食べられる時代……
好きなモノだけ好きなだけ
食べてしまうようになった。
男性の3人に1人、女性の5人に1人が
肥満(BMIが25以上)に分類されている。
デブな子供
もはや肥満に悩まない国民の方が
珍しい存在になってしまった。
デブな子供も多数発生している。
オレが子供の頃は、
デブ子供は学年に1人くらいだった。
(100人に1人くらい)
ところが、
娘の授業参観や運動会にいくと、
クラスに2~3人デブ子供がいる。
(10人に1人くらい)
このコたちのお母さんを見ると、
デブもいるが案外スリムなのが多い。
遺伝ではなく、生活習慣であろう。
欧米食が原因
ピザ・スパゲティ・ハンバーグ・フライドポテト……
子供には欧米のジャンクフードが大人気。
子供に「好きな食べ物は?」と聞けば、
野菜の煮物!
などと答える子供は1人もいない。
子供は好き嫌いが激しく、
母親もメニューを考えるのが面倒なので
ついつい好きな物ばかり食べさせる。
その中で、
ソフトドラッグによる歯止めが効かないコが
デブ子供になっていくのだ。
寿命「だけ」延びた
欧米化で寿命が短くなった、
という意見は多いが、
実際には延びている。
60⇒80歳
戦後は平均寿命が60歳くらいだったのが、
現在では80歳である。
しかし、健康寿命は延びていない。
健康ではないけど、長生きになった。
もはや寝たきりの老人が、
アメリカの10倍以上もいる異常事態にまで発展している。
100歳以上の人口
人口当たりの100歳以上の数は
日本よりアメリカの方が多い。
しかし、
日本よりアメリカの方が
心臓疾患が10倍多い。
アメリカにおいても
健康寿命が長いとは言い難い。
当然、
同じようなモノを食べる日本人も
同じような運命を辿るであろう。
疾患が急増
食の欧米化により、
脂質と動物性蛋白質の割合が上がった。
動物性蛋白質には動物性脂肪もついてくる。
また、
揚げ物も多く糖質過多にもなりやすい。
乳癌、大腸癌、心臓病、糖尿病、肥満が急増。
(Wikimedia Commonsより引用)
また、
日本古来の食べ物の摂取が減り、
喘息、花粉症、アトピーなどの
アレルギーが増えた。
日本人の腸
日本人は消化の悪い植物や穀物に
適応している。
ゆえに、欧米人より腸が長い。
そこへ消化吸収の良い肉や脂肪が
入ってくると必要以上に吸収してしまう。
よって肥満だけでなく、
腸内滞留時間が伸びて
便秘・大腸癌も急増している。
血液検査結果が良い国は?
(Wikimedia Commonsより引用)
血液検査で異常のない人が
もっとも多い国は「北朝鮮」だろう。
体型もスリム。
皆が美容体型である。
だが、栄養失調も多い。
もし北朝鮮にホンの少しだけ
食糧がプラスされれば
理想的な食生活と言えるだろう。
粗食は健康に良いのだ。
食べ過ぎ
欧米食は味が良い(食べやすい)ので
ついつい食べ過ぎてしまう。
家族の献立
和食は子供が食べない。
欧米食なら喜んで食べる。
「今日何が食べたい?」
「ハンバーグ!」
家族の食卓はどんどん欧米化に偏る。
焼き魚や煮物、漬物よりも、
スパゲティやハンバーグに流れがちである。
アメリカでは?
新鮮な野菜や魚は値段が高い。
缶詰や糖質食品は値段が安い。
肉も大量に安く手に入る。
日本のように100g単位のスライス肉が
少量で申し訳なさそうにトレーに入っていない。
kg単位の塊肉でドカン!と売られている。
貧富の差が激しいので、
ファストフードばかりになりがち。
所得が低いと安価で満腹感を得られやすい。
その結果、
絶望的に肥満が増えてしまった。
バランスが悪い
1品を集中的に食べるのが欧米だ。
食の欧米化により「食べ方」も
欧米化してきた。
「1品食べ」が子供の頃からの
習慣になってしまっている人は多い。
品数が少ない
欧米食は和食より単純なメニューだ。
和食よりも栄養バランスが劣る。
日本人の体格は良くなったが、
脂質をとり過ぎて血液がドロドロに。
野菜不足でミネラルが不足。
アレルギーや希少疾病に弱くなった。
和食=体に良い、は誤り
(Wikimedia Commonsより引用)
和のモダン料理は欧米のように
高カロリー化している。
そのうえ塩分の多さは健在である。
種々の悪化は和食か欧米食かというより、
「食べ過ぎ」が原因といえる。
でもソフトドラッグだからやめられない。
小麦戦略
日本では作れないはずの
強力小麦からつくられるパンが、
なぜここまで普及したのか?
マッカーサー
「日本の食卓は米・魚・野菜で貧しい」
「パンと肉とミルクの豊かな食事に変えてみせる」
欧米流「栄養学」
欧米の栄養学を基礎とし、
欧米食を理想とした。
コメ偏重の是正がされ、
パン食が普及すると同時に
コメの生産が減反された。
コメの消費量
1人が1年に消費する量は、
戦後に120kgだったのが、
現代では60kgと半分にまで
減ってきている。
世界大戦がきっかけ
(Wikimedia Commonsより引用)
アメリカは安価で大量の
農作物が必要だった。
第一次はヨーロッパ戦線へ、
第二次はアジア戦線へ
食料を補給するためである。
それが「小麦」である。
アメリカ軍「戦線に食料を!」
アメリカ政府「穀物大量生産や!」
過剰在庫に
戦争が終わり、
大量の小麦が余ってしまった。
消費しないとどんどん腐ってしまう。
アメリカ「輸出や!」
世界「ここ数年大豊作なんよ」
さて、どこに売るべきか……
日本がターゲットに
(Wikimedia Commonsより引用)
戦争に負けてお金も物資もない日本が
第一候補に上がった。
利害関係の一致
アメリカ「食料不足してるやろ?」
日本「飢え死にしそうや」
アメリカ「小麦買ってくれ」
日本「米が主食や」
アメリカ「パンも旨いよ」
日本「ドルがない」
アメリカ「日本円でいいから」
日本「金もない」
アメリカ「後払いでいいから」
日本「買うわ」
サンプリングという手法
はじめはタダで配って、
その後買わせる方法である。
相手にとって「不要なモノ」を
習慣に組み込ませる。
いつの間にか「必要なモノ」になる。
食生活の変化
こうして米と野菜を食っていた日本人が
パンを食うようになった。
日本人「パンも旨いやんけ!」
アメリカ「まだまだ小麦あるで!」
ご飯とみそ汁と漬物の組み合わせが
パンと牛乳になった。
学校給食へ
(http://showa-love.jp/showa-various/shouwakyuushokuより引用)
子供の頃食べた食品は、一生食べる。
アメリカとしては、
日本の子供に小麦の味を覚えさせたい。
(enjoy.sso.biglobe.ne.jpより引用)
アメリカ「給食用小麦を無償で提供するで!」
日本「え、ホンマに?」
アメリカ「給食は米偏重から小麦混合や」
日本「学校給食法改正や」
アメリカ「日本の学校給食法は世界最優秀やな」
日本「えへへ……パン大好き」
しかしその1年後……
アメリカの余剰小麦がなくなってきた。
アメリカ「無償で提供はストップや!」
日本「まだ始めたばっかやんけ!」
アメリカ「安くしときまっせw」
日本「ズルい……」
アメリカ「でも給食は中止できんやろ?」
日本「ぐぬぬ……国庫で買うわ」
アメリカ「まいど!」
値上げに音をあげる
朝令暮改。
ハシゴをかけて登ったらはずす……
日本はみごとにひっかかってしまった。
日本の多雨な気候では、
稲が得意だが小麦は苦手なのである。
日本では作れない
日本「最初からハメるつもりだったやろ!」
アメリカ「ほんなら自分で作ればええがなw」
日本「作れんの知っとるやろ」
アメリカ「そろそろ値上げが必要かしら☆」
日本「じゃあヨーロッパから買うわ」
アメリカ「世界の小麦相場を支配してるのは誰や?」
日本「ゴメンなさい……」
もう後戻りできない
強力小麦は日本の気候風土では
できない作物である。
しかし、日本人はパンなしでは
いられない体になってしまった。
よって、強力小麦を永遠に
輸入し続けなければならなくなった。
日本、世界のATMへ
世界の小麦相場を支配しているのは
アメリカである。
ヨーロッパだってオーストラリアだって、
日本に高く売りつけたい。
かくして日本は世界のATMとなった。



