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【シミュレーション】羊水検査⇒中絶率97%「ダウン症」エコーでわかる?

晩婚がダウン症の原因の1つになっている。
高齢出産における染色体異常で
最も頻度が高いとされる。

染色体異常児が産まれる確率は、
母親の出産年齢と明確な相関性がある。

ざっくりいうと、
ダウン症出生数は毎年2200人程度で
微増または横ばい傾向にある。

ダウン症とは?

・特徴的な顔
・軽度の知的障害
・成長の遅延
が特徴的な染色体異常であり、
約700人に1人の割合で誕生する。
(半数は自然流産している)

不治の病

染色体異常のため、
根治療法は存在しない。
遺伝子治療の研究は進んでいるが、
まだ実用化のメドは立っていない。

心臓疾患などの合併症は
幼少期の外科手術で飛躍的に改善するが、
中年期のアルツハイマー型痴呆などは
治療薬で多少改善する程度。

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なぜ同じような顔なのか?

アジア系・ヨーロッパ系・アフリカ系……
異なる人種でも似た顔をしている。

成長速度の違い


(Wikimedia Commonsより引用)
顔の中心部よりも外側の成長が
速いことにより顔つきが酷似する。

目が小さいまま吊り上がっていく。
タネ型で離れ、ヨリ目がちに。
鼻筋はずっと低いまま。
下アゴと舌が大きくなり、
それが原因で口が開き気味になる。

低身長や首が短いのも特徴である。
肥満も多く身体全体が軟らかい印象。

合併症

心臓疾患・てんかん・知的障害などを
合併していることがほとんど。

また成長が遅く、老化が速いので
実年齢よりは20~30歳進んでおり、
寿命は短め。

高い確率で内臓の奇形を伴うので、
昔は成人までに合併症で死亡していたが、
医学の進歩で現代では50年以上に伸びた。

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年齢と確率

35歳からダウン症の率が一気に上がり、
発生率の70%を占める。

高齢出産(35歳以上の初産)が増加したため、
2002年では1000人に1人だったのが、
2016年には700人に1人まで増加した。

女性側の原因


症例の95%は母親由来である。
特に母親の年齢と大きな相関があり、
その率は35歳から急増する。

20歳では1500人に1人だったのが、
40歳では95人に1人に跳ね上がる。

男性側の原因


父親の年齢は影響がほぼない。
精子は「使い捨て」だからだ。

35歳から精子の劣化も始まるのは事実だが、
精子に異常があった場合は、
そもそも妊娠自体が成立しない。

ゆえにダウン症の原因としては、
精子の劣化は卵子の劣化に比べると
無視できる程度である。

ただし、
自閉症や統合失調症などの精神疾患は、
父親の年齢で発生率が大きく上がる。

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エコーでは確定できない

羊水検査で陽性なら中絶率は97%である。
つまり、
ダウン症と知りながら産む人はほぼいない。

にもかかわらず、
ダウン症児を出産した母親のうち、
30%は35歳未満であり、意外と多い。
どうして若いお母さんが多いのか?

ほぼ全員が想定外


健常児を出産したつもりが、
ダウン症児であったケースがほとんど。
定期検診では順調であったので
手間も費用もかかる出生前診断を受けなかった。

ゆえに、
ダウン症は高齢出産のイメージが強いが、
若いお母さんが意外と多い。

健常兄弟姉妹の子供は?


①トリソミー型(92~3%)
②転座型(5%)
③モザイク型(1~2%)

ダウン症には3つの型があり、
ほとんどは①である。
このタイプが兄弟姉妹にいても、
健常家族の子供に遺伝はしない。

遺伝する可能性があるのは
②のタイプである。

ダウン症だと子供は作れるのか?

父親(ダウン症) ①②は不妊
母親(ダウン症) 妊娠可能(自然流産多数)

父・母どちらかがダウン症であった場合、
産まれる子供は35~50%がダウン症であり、
両親供にダウン症の場合はさらに高い。
ただし、多くは自然流産する。

結婚で反対される


ダウン症の兄弟姉妹がいると
結婚のときに反対される場合がある。
家族や親戚に障碍者がいれば、
由来を知りたくなるのは当然の欲求だ。
無関心を装う方が不自然である。

ある程度は仕方ないことかもしれないが、
①か③であることを理解してもらえば
まったく問題ない。

②であった場合、
保因者である可能性はあるが、
出生前診断で中絶する選択はある。
もし結婚に反対されたのなら、
このあたりを根気よく説得するしかない。

そもそも、
母体年齢や確率の問題で「誰にでも」
ダウン症児が産まれる可能性はある。

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検査

ダウン症の検査は主に4つあり、
「腹部エコー」「羊水検査」「クアトロテスト」
そして「NIPT(新型出生前診断)」がある。

羊水検査以外はリスク無しだが
確定もできない。

腹部エコー

ボテ腹に検査器を当てるだけなので、
危険性も負担も限りなくゼロである。

エコーで赤ちゃんの外観がある程度わかり、
ダウン症では後頭部のむくみが最も多く見られる。

他にも特徴はあり、
心臓の壁が薄い、穴が開いている、
手足が短い、体が小さい、
起伏の少ない顔、鼻が低い……など。

あくまでも経過観察


(Wikimedia Commonsより引用)
最近のエコーは発達しているので、
身体的な所見が見つかる可能性はあるが、
健常児との区別は難しく、確実性はない。

「目立つ異常」でないと目視は不可能。
エコーでダウン症と診断をつけなくとも
医師の責任でない

NIPT(20万円)


(https://www.momjunction.com/より引用)
新型出生前診断ともいわれ、
妊娠10週前後から受けられるが、
対象は35歳以上である。

妊婦の血液に含まれる胎児DNAから
99.9%の確率でダウン症の検出が可能である。
ただし、
全染色体異常の25%しかわからないので、
陰性でも他の障碍の可能性はある。

NIPT陽性なら羊水検査へ

NIPTで陰性ならほぼダウン症ではないが、
陽性の場合は精度80%なので
羊水検査で確定診断することになる。

NIPTで陽性になった段階で中絶すれば、
まだ10週なので中絶の方法も簡易である。
いっぽう、
羊水検査で確定する20週まで待てば、
胎児が大きくなり中絶が大変になる。

そのため、
NIPTで陽性になってすぐに
人工中絶を選ぶ夫婦がたまにおり、
倫理的に問題がある。

クアトロテスト(2万円)


(https://americanpregnancy.org/より引用)
妊娠15週から受けることができ、
血液中4つのマーカーを測定する。
精度が80%と低いうえに、
陽性のうち5%が偽陽性である。

胎児が異常を持つ確率がわかるだけであり、
確実な診断とはいえない。
1/300以上なら羊水検査を打診される。

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羊水検査(15万円)

お腹に注射器を刺して、
子宮から羊水をとって検査する。
妊娠15週から受けることができ、
検出率はほぼ100%である。

日本では羊水検査でダウン症が発覚すれば、
100%の母親が涙を流し、
97%の妊婦が人工中絶を選択している。

流産の危険


(https://ib.bioninja.com.au/より引用)
羊水検査が原因の流産は、
1000人で2~3人程度であり、
医師から積極的には薦めてこない。

年齢制限はないが、35歳以上が目安である。
というのは、
染色体異常児で産まれるリスクが、
検査で流産するリスクを上回るのが、
35歳以上だからだ。

胎児はいきなり入ってきた針に
恐怖して暴れることも。
また子宮に針を刺すこと自体が
破水・出血・感染の可能性を高める。

陽性なら時間はない

妊娠16週(4ヶ月)以降から受けられ、
結果が出るのに2~3週間かかる。

……ということは、
羊水検査でダウン症が発覚する多くは
妊娠20週(5ヶ月)前後であり、
人工中絶の制限(22週)ギリギリである。


このころはやっと安定期に入った頃でもある。
お腹が大きくなり始め、
中で動いているのがわかる。


(Wikimedia Commonsより引用)
エコーでも「完全に」人間の形になっている。

どうしても健常児を産みたい……
でも中絶する勇気はない……
障碍者の母親になりたくない……
でもお腹で動いている我が子を殺したくない。
でもでもでも……答えは出ない。
産む・産まないで大変苦しむ。

しかし人工中絶の決断は、
「すぐに」下さなくてはならない。

分娩方式の中絶

中絶の仕方は、
妊娠初期(12週未満)と12~22週では異なる。
NIPT後すぐは妊娠前期の中絶方法だが、
羊水検査後は後期の中絶方法である。

それは、
人工的に陣痛を起こして分娩するという、
大変に苦痛を伴う中絶である。


(https://www.thebeggsbunch.com/より引用)
この時点では、
25cm300gくらいまで育っている。
完全に人の姿をしており、
火葬して骨も残る。

ちなみに、
13週目以降の中絶では、
死亡診断書も火葬も必要である。

だから受けない人が多い

「赤ちゃんが産まれたがっているのがわかる」
舞い上がっている時期であるうえに、
手間リスクもある検査である。
しかも、高額だ。

さらに、
エコーで正常ならダウン症も大丈夫という
思い込んでいる人が多い。

ゆえに、
手軽なクアトロテストだけで安心し、
NIPTも羊水検査も受けない人がほとんど。
(そもそも受ける必要はないが)
そして、
出産後にダウン症が発覚する。

本音と建て前


医者のタテマエ
「早期に染色体の異常がわかれば、
出産後のことを時間をかけて考えられます」

医者のホンネ
「羊水検査を受ける以上は、
陽性だったら中絶するという
断固たる決意が必要なんだ!」

なぜ、ホンネとタテマエがあるのか?

出生前診断検査を受ける時点で、
中絶する意志が少なからずあるはず……
中絶意志が「全く」無いのなら、
そもそも羊水検査を受ける意味がない。
何のために羊水検査を受けたのか?
ということになる。


(Wikimedia Commonsより引用)
知り合いの医者によると、
流行っている産婦人科なら
毎年1人くらい想定外のダウン症児が
産まれているものだ、とのこと。

告知される側の絶大なショックは当然だが、
告知する側もタイミングや言い方など、
非常に苦労しているらしい。

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産むか、産まないか

産まれる前は、
ドライな意見が圧倒的である。
産まれた後は、
肯定的な意見が多い。

産まれる前にわかったら?

ほぼ全員の答えは、
「私は産みません」「育てる自信がない」
「障碍児はイヤ」「健常児を産みたい」
と、正直な意見である。

産まれる前は、
現実的な意見が圧倒的に多い。

中絶は残酷な所業


(https://www.lifesitenews.com/より引用)
中絶の際、胎児は突然入ってきて
自分を追う金具から逃げ回るらしい……

しかし、
障碍児を育てる苦労や苦しみは、
綺麗事では済まない現実があるため、
中絶を選んだ人を攻めることはできない

ただし妊娠や胎動で母性が宿り、
考えが変わる場合がある。
夫はアッサリ中絶を薦めるが、
胎動を感じ母性が宿った妻は躊躇する。

出産後にわかったら?

「見捨てるなんてできない」
「何があっても私が守る」
「今、障害とわかっても関係ない」
「この子がいなくなるなんて考えられない」
「他にも障害はたくさんある」

産まれた後の場合は
「強烈な母性本能」が宿るので、
肯定的意見が圧倒的である。
ダウン症児の明るいブログを見れば、
なんとなく気持ちがわかると思う。

そんな人でも、
ダウン症と確定診断を告げられた瞬間は、
血の気が引いて目の前が真っ暗になるらしい。

昔話

天邪鬼や憑りつかれた人などは
統合失調症や自閉症の可能性がある。

科学も医療もない時代である。
7歳までは死亡率が極端に高く、
「神の子」として名前もつけなかった。
ある程度成長して、
やっと自分の子として名付けた。

暗黙の了解


昔は産婆さんが気を利かせて
障碍児をその場で〆ていたらしく、
とても少なかったという。
出産時のトラブルということで、
暗黙の了解だったのだろう。

カネさえあれば生きていける甘い現代とは違い、
毎年厳しい自然と戦いながら農耕した時代だ。
飢饉や不作は死を意味する……
家族全員の命が懸かっており、仕方ない。

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現実は、甘くない。

養護学校では四六時中世話をしてくれるので、
日中は親が解放される。

卒業後は親が365日24時間休みナシという、
「厳しい現実」が待っている。
これは健常児相手でも相当キツい。

小さい頃は天使

しかし、可愛いだけではない。

小さい頃ほど免疫力が弱く、
すぐ風邪をひくので病院と切り離せないなど、
心配事は尽きない。

下半身の問題


老人同様、下半身の問題もついて回る。

小学生でもオムツはとれず、
中学生でもトイレを失敗し、
下半身をゴソゴソ……そんな子もいる。
中にはお母さんが性処理する家庭も。

寿命が延びた

2歳までは天使でも、
3歳くらいからアレッと思い出し、
15歳くらいから言うことを聞かなくなる……
そんな傾向が強い。
昔は心臓疾患などで成人することが難しく、
その頃に寿命を迎えていた。

そのため、
親が一生面倒をみることができた。

ところが、
現代では寿命はずいぶん延びた。
幼いうちに外科手術で心臓疾患は改善し、
親が死んでも生き続けるようになった。
親は半生、兄弟姉妹は一生」なのである。

親子は30代と70代

38歳で障碍児を産めば、
その子が35歳になったときに73歳である。
まだまだ先は長い……
そろそろ他の兄弟姉妹に
バトンタッチしないといけない。

50代になれば、親は死ぬ現実がある。
中年がいきなり施設で集団生活は難しい。
だから兄弟姉妹が引き取ることになる。

誰が、面倒をみるのか?

バトンを渡された側は、
自分の家族や子供の面倒を見るうえ、
障碍者までかかえることになる。

当然だが、
寿命が延びたということは
他人の負担も増えるということである。

キレイゴトばかり並べる人は、
15歳以後の苦労や親の死後のこと、
さらに社会の負担まで
考えて言っているのだろうか?
それでも「引き取る」という人だけ、
キレイゴトを言う資格がある。

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シミュレーション

産まれた時は絶望感があっても、
1年後には可愛くて仕方なくなるようだ。

いっぽう、
重度から軽度まで症状は様々だが
障碍児を持つ親の苦しみは、
何十年たっても消えることはない。

障碍者施設にて

てんかんを併発した障碍児(ダウン症含む)に
特化した施設をよく知っている。
そこでは1回の服用量が10錠を超えるのはザラで、
薬というより、もはやご飯というレベルだった。

親戚や血筋に障碍者がいると世間体が悪い……
田舎なので結婚のときにモメる……
事実として、そういうことは存在する。

年に1度だけ会える

たとえば、
兄弟の中で1人だけ重度の障碍児がいた。
その子は施設に預けられていたが、
親戚や世間には死んだことにされていた。
お母さんが年に1回だけビジネスホテルで
一緒に泊まって、家に帰って行くらしい。

その子はいつもいつも、
年に1度来る「その日」を心待ちにしていた。
そんな極限状態の家庭ばかりだった。

そこではいろんな話を聞いたので、
総合してシミュレーションし、
ざっくりした流れの理解を促したい。

誕生

エコーではずっと異常ナシだったが、
切迫早産で帝王切開。

待ちに待った赤ちゃんを抱く……
こともなく、すぐに集中治療室へ。
産まれてすぐに保育器で離ればなれ。
出産の喜びというより、放心状態。

その脇には、
あまりに深刻な顔をした看護師がいた。
イヤな予感がする……

予感

「ご両親にお話があります」
「心臓に穴が開いています」
「ダウン症の可能性があります」
大きな病院で染色体検査を薦められた。

[ダウン症 顔 特徴]
ネットの画像検索をしまくる。
特徴を見ては、自分の子の写真と見比べ続ける。
「違う」と思いつつ、予感は強くなるばかり。
放心状態で涙が出続ける。

つい先日までは、
五体満足の健常児が産まれて当然と思っていた……

集中治療室

超未熟児・先天疾患・大手術待ち
絶対安静で経過観察……
いろんな新生児がいる。

そこは赤ちゃんの誕生が
オメデタイという雰囲気は一切ない。
毎日、毎日、
生きているかどうかを確認する修羅場。
ダウン症だけならまだマシというレベル。

予感的中

ダウン症の確定診断が下った。

覚悟はしていたつもりだが、
弾丸で頭をブチ抜かれる衝撃があった。
なんで私に限って……

幸せの絶頂のはずが、不幸のドン底に。
我が子すら可愛いと思えなくなり、
世の中が灰色になる。

楽しい子育て、暖かい家庭、孫に囲まれる老後……
思い描いていた未来が塗り替えられていく。

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しかし、可愛い

産んだ瞬間から、
一気に母性本能が湧き出てくる。
痛い思いをして産んだ可愛いわが子に
障碍があるというだけの理由で
見捨てることはできない。

しかし、
これからは周りの目を気にしながら
育てていかないといけない。
初孫を楽しみにしている両親と
義両親に伝えるのも辛い……

不安に押し潰されそうになる。

精神がついていけない

出産の喜びは一瞬で消え、
次々と現実が襲い掛かってくる。

初めての子育てだけでも不安なのに、
障碍のことや世間の目、この子の将来……
手続きは多数あり、自治体ごとに違う。
考えること、やることが多すぎる。

産まれた子供がダウン症児であることを
受けれられない親も多く、
保育器の赤ちゃんに面会すら来ない親もいる、
と看護師から聞いた。

湧き出る不安

「赤ちゃんは親を選んで産まれてくる」
「障碍を承知で産まれてきてくれた」
「障碍は個性」
そう思って気持ちを整理していく。

産む前なら中絶や養子を想像できるけど、
産んでしまえば「まさに分身」であり、
あまりに可愛くて絶対に手放せない。
健常児なら愛せて、障碍児なら愛せない……
人間はそんなに単純ではない。

しかし、
自分が世界で一番不幸とも、
出生前診断でわかっていれば堕胎したのにとも、
余計なことを考えてしまう。
障碍は自分のせいだとも思ってしまう。
子供を手放すことさえ頭をよぎる。
毎晩、毎晩、自然に涙が出てくる。

とはいえ、
この子を守れるのは自分しかいない……
わずかな機能を少しでも伸ばすのが親の務め……
自分を奮い立たせる。

ブログや本を読み漁る

ダウン症の子を持つ親は、
こぞって「天使だ」「笑顔が可愛い」
「よくぞ私のもとに産まれてきてくれた」
イイコトばかり書いてある。

「時間が解決してくれる」
最初は絶望して苦しんで、
半年ほどで受け入れて、
1年後には悩みながらも楽しんで生活……
そんな話が多い。

絶望的だったが、ちょっと立ち直った。
同時に、不安も次々と湧き出てくる。
母乳で育てたいが、ショックで出ない。

「障碍がなくても子育ては大変」
「産んだ以上は育てるしかない」
「我が子は我が子でしょ?」
「母親がしっかりしないと!」
そんな無責任なコメントも多数ある。
所詮は他人事なのだろう。

施設にて

施設に行くと、ダウン症の子供が
予想以上に多いことに驚く。
親の会では皆、明るく前向き。
親同士の情報交換では頼りになるし、
市のサポートも申し分ない。

一番つらい初期の時期は、
一人で考え込まずにコミュニティで交流し、
申請の仕方や療育の進め方を
先輩ママから教わる方が元気が出る。

保健師も親身になってくれる。
世界から見放された気分になっていたが、
この国は見放さない。

躁鬱状態

でもなぜこんなに、
受け入れられるんだろう……

家に帰るとまた悲しくなる。
元気になったり、憂鬱になったりの繰り返し。
それは、他の家族も同じ……
人前では明るく振舞っても、
家では苦しんでいるのがわかる。

幸い夫は障碍に理解ある人だが、
それでも時々は夫婦仲に亀裂が入る。
ダウン症の集まりにも子供が原因で
シングルマザーになったお母さんが何人もいた。
男の人は障碍児を見捨てて、
平気で家を出ていく……

半年後、
主治医がそろそろ療育を始めようと言う。
療育センターに通うことになり、
日常生活や言語の指導をしてもらう。

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1年後

心の底から可愛いと思えるのに時間がかかったが、
今はただただ、可愛く感じる。
ダウン症児は穏やかでニコニコしているので、
我が家も笑顔が絶えない。

大好きになる

あの時、「自分を不幸」だと
感じていたのは間違いだった。
健常児も障碍児も関係なく、
最初から母にはなれない。
ミルクやオムツの世話を繰り返すことで、
だんだんお母さんになっていく。

今は大好きになった。
特徴ある顔だけど、だんだん顔も似てきた。
「みんな同じ顔」と言われるけど、
ダウン症児に同じ顔なんて1つもない。

でも健常児と比較してしまう

子供の成長は健常児・障碍児に関わらず
うれしいものである。
乳幼児は、毎日変わる。
わずかな成長でも幸せな気分になる。

しかし、
健常児を見るたび憂鬱になる。

障碍は個性……
一芸に秀でている……
海外の天才には障碍者も多い……
プラス思考して一瞬は元気になるが、
また悲しくなってくる。
責任感と不安で押しつぶされそうになる。

「自分は幸せなんだろうか?」
「この子は幸せなんだろうか?」
「幸せってなんだろう?」

出不精に

すれ違う人間は無関心を装うが、
チラ見しているのがわかる。
暖かい目、見世物のような目……
ときどき目線に耐えられなくなる。

子供を連れて歩くのがイヤになるときがある。
友達同士の集まりにはたまに顔を出していたが、
みんな健常児をポコポコ産み始めた。
子供を連れてくるようになってきたから
まったく行かなくなった。

でも天使

笑顔が本当に素敵。
健常児みたいに欲や計算が入ってないし、
大人しくて扱いやすい。
「天使の微笑み」というのもわかる。

健常児以上に無邪気なので、
可愛くて仕方ない。
少しずつだけど、着実に成長していく。
いつもニコニコして可愛い。

障碍児を育てたからこそ、
経験できたこと、見えたことも多い。
「無償の愛」がわかるようになった。
辛いことや大変なことはたくさんあるが、
幸せなこともたくさんある。

でも下を見て安心する

ダウン症の子は見た目でわかるから
周りの人間が配慮してくれる。
自閉症の子は見た目は普通だが、
行動が異常なので白い目で見られる。

自閉症の方が大変……
自分はまだマシ……
人の不幸で癒やされる自分がイヤになる。

でもでもでも……
喜んだり落ち込んだり精神を消耗していく。

テレビやネット

テレビやネットにはダウン症時をもつ家族が
幸せに暮らしている様子ばかりが映る。
「後悔はしてない」
ブログや本も前向きな内容ばかり。

しかし、
障碍が軽度のケースばかり……

不特定多数の他人には
「良い場面」しか公表しない。
重度の障害を持つ現実的な内容や
家族が苦しんでいる様子は、
なかなか公表されない。

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15歳以降が本番

小さな頃は序章に過ぎない。
ここからが、「本番」なのである。

小さい頃は幸せいっぱいなブログが多い、
でも思春期・青年期になると、
そういうブログはほとんどないのが現実……
特に、重度の場合は深刻。

こだわり

思春期……
「こだわり」が強くなってくる時期がきた。
イヤなものは何がなんでもイヤ。
生活リズムがちょっとでも狂うとイヤ。

長袖がイヤ、カーテンがイヤ、傘がイヤ……
色にこだわって決まった色の服しか着ない、
家具の配置が気になって延々と動かす、
嫌いな食べ物は人の分まで捨て、
好きな食べ物は人の分まで食べる。

言うことを聞かなくなる

何回注意しても頑固に直さない。
コミュニケーション力は弱く、
情緒が安定せず癇癪を起こす。

わかるまで教える根気や熱心、
もちろん「厳しさ」が必要。

寿命が3倍に

昔は成人前に死亡することで、
親の苦労は序章で終わっていた。
ゆえに、
キレイゴトがまかり通っていた。

ところが、
ダウン症児の寿命が延びたことで
本番がやってくるようになった。
もうキレイゴトが通らない時代だ。

寿命が伸びたということは、
一緒に過ごせる期間が伸びただけではない。
苦労する期間も伸びたということである。

変化についていけない

身体的にも精神的にも、社会環境も
急激に変化する時期である。
この変化では健常児でも乱れる子が多い。

当然、健常児ほど適応できず、
閉じこもる、黙るといった変化が急に現れやすい。
性欲を理性で抑えられなくなり、
親がかなりの苦労をする場合も。

20代以降……

20代になると環境の変化についていけず、
急激に社会性を失う場合がある。

30代を境に体力が衰え始め、
40代からアルツハイマー型痴呆が
発現し始める人もいる。

50代になると大きな病気が出てきて、
平均寿命は50代後半となっている。

そうそう、大事な点を忘れていた。
世間の目が暖かいのは、
乳幼児に対してだけである。
アナタがそうであるように……

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命の選別

ある年の調査では、
3500人がクアトロテストを受け、
そのうち67人(2%)に陽性反応が出た。
その後、羊水検査で54人が確定。
54人のうち53人が人工中絶した。

迷う時間はない


羊水検査の結果が出る頃は、
妊娠20週前後である。
エコーでは完全に人の形であるし、
胎動を感じ母性も宿っている。
分娩方式の中絶をしなくてはならず、
簡単に結論は出ない。

しかし、
中絶のタイムリミットは22週である。
産むのか中絶するのかは、
「すぐに」決断しなくてはならない。

ほぼ全員が中絶を選択


「陽性なら中絶」と決めていた人は多いが、
その過程は多種多様である。

結婚もできず、親が死ねば施設に行くか、
兄弟姉妹に引き取ってもらうしかない。
そういった現実を考え抜いて、
待ちに待った赤ちゃんを中絶しているのである。

長年の不妊治療の末に
やっと授かった子供がダウン症と判明すれば、
涙を流して中絶した人もいるし、
次の妊娠が望めないため出産した人もいる。

神経質な話題

東尾理子が不妊治療の末、
高齢出産で子供を授かった。
クアトロテストでダウン症確率が
1/82であった際に出したコメントが波紋を呼んだ。
「羊水検査を受けないことを決めました」

激励と批判

激励コメントは多かった。
「勇気づけられました」
「私も羊水検査を受けません」
「何があっても大切に育てます」

いっぽう、批判も多かった。
松野明美(元マラソン選手)は
ダウン症児の母親であり、
不快感を表明した。
「公表するものではない」
「わざわざ言うことでない」
「怒りがこみ上げてきた」

善意が地雷に

この問題で重要なのは、
東尾理子にはまったく悪気はなかった。

クアトロテストの結果を公表し、
出産への決意を表明することで、
同じような状況の人を勇気づけることに、
何ら問題はない。

しかし、
「当事者は怒りを感じた」点である。
善意で公表したつもりが、
爆弾になってしまったのである。

まとめ

論破

自然環境において、
遺伝子に異常がある個体は、
流産するか、短命である。
遺伝子の組み合わせに失敗した個体は、
死んでいくのが自然界の掟である。

ところが科学技術により、
ダウン症の寿命は20歳から60歳まで延びた。
寿命が延びれば社会保障費も増大し、
同時に社会(家族や他人)の負担が増大した。

出生前診断や陽性での中絶に、
賛成か?反対か?
できれば倫理的に答えを出したいが、
こういう問題に正解はない。

とはいえ、
自然界の掟社会の負担という観点から、
多くの人が同じ答えを出すと予測する。

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